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新築一戸建てのプラン作成のポイント(立地・外部環境編)【若本修治の住宅取得講座-1】

建売りであれ注文住宅であっても、新築は多くの人にとって人生最大の買い物。

保険や住宅ローンのように簡単に替えることも容易ではなく、日本の場合はかなり長期間にわたり、生活も資金面も自分が買った家に縛られます。一戸建て住宅であれば、恐らく老後も同じ家に住み続けることになるでしょう。子育てから子供たちが独立後の夫婦だけの生活、そして連れ添いが亡くなってからの一人暮らしになるまで、同じ家に暮らし続ける可能性は決して低くありません。

だからこそ、住宅取得を検討している段階で、しっかりと間取りを検討して下さい。
残念ながら自由設計で注文住宅のほうが多い日本では、間取りも自由になる代わりに、使い勝手の悪い間取り、建築コストが掛かってエネルギーロスが多い間取り、地震などに弱い間取りなど、プロから見たら残念な間取りが少なくありません。ファッションと同じで購入者の自由に任せてオーダーするほど、トータルなバランスが崩れてくるのです。

注文住宅に限らず、建売りを購入する場合でも役に立つ「間取りのチェックポイント」を8つにまとめてみました!まずは立地や外部環境など、外周りから考えていきます。

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敷地条件を把握しよう

間取りの良し悪しを判断する時、部屋の広さや部屋数、部屋の配置以前に重要なのは、建物のロケーション。いわゆる『立地条件』ですが、敷地の形状や前面道路との接し方、方角や近隣の建物によって、暮らしやすさや快適性に大きく影響が及びます。

道路や方角

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建築基準法上の基本などはネット上でも探せますし、実際の設計はプロに任せるとして、施主・購入者として最低限知っておくべきポイントを整理します。その土地を買うかどうか迷っている場合の判断材料にして下さい。

まず前面道路幅ですが、6mが理想です。建築基準法上では4mでもOKで、それよりも狭いとセットバックといって、実際に使える敷地が狭くなりますが、幅員が狭い4m程度の道路接道では、駐車場への入庫や出庫で気を遣います。日本の住宅地は電柱や標識が通行のじゃまになるケースが多く、他の車との離合だけでなく歩行者や自転車など、安全に暮らすには道路幅員は重要です。

もちろん歩道や街路樹がある10m以上の道路に接している敷地も魅力的です。しかし相対的に価格が高く車や人の往来が多くて、プライバシーや静けさも考慮したほうが良さそうです。実際、道路幅で生活環境経済的負担も変わるのです。

敷地の方角は、南側に道路がある「南向き」が好まれます。しかしそのぶん人気もあって価格も高く、軒の出開口部の性能強化など、夏の暑さ対策を考えないと、南向きリビングが必ずしも快適で過ごしやすいとは言えません。日中は道路から室内が見え直射日光も入る状態であれば、カーテンを閉めっぱなしでせっかくの南向きが活かせていない家も数多くあります。

建物の配置や間取りの工夫で、北向きの家のほうが落ち着きがあり暮らしやすいケースは数多くあります。考えてみれば、よほど郊外の田舎でない限り、南向きの敷地と同じ数だけ北向きの敷地があるのです。敷地条件を活かして、過ごしやすい家を設計するのがプロの仕事です。

近隣への配慮

新しく開発された広大な分譲地は別として、多くの場合近隣にすでに住宅が建っているか、建つ予定があることが大半です。敷地は道路から見るだけでなく、出来るだけ敷地の中に立ってみて、隣接する建物の窓の配置から部屋を想像してみて下さい。欧米の家は外観からでは部屋の用途が分かりませんが、残念ながら日本の住宅は、窓の大きさや配置でキッチンなのか階段なのか、お風呂なのかが分かります。

狭小地に限らず60坪以下がほとんどの日本の敷地では、お隣との窓の位置の干渉や換気扇から排出される煙やにおい室内から漏れる音の問題など、部屋の配置によってご近所関係に影響を及ぼすことが少なくありません。少なくともあとから入居する人が配慮したほうがいいでしょう。

ご近所同士とはいえ、洗濯物は見せたくないもので、相手の洗濯物やお布団も見たくないもの。バルコニーの位置によっては、洗濯物だけでなく空き巣が飛び移ってくるなど、防犯上も注意が必要です。

窓から見える景色

住宅の資産価値が上がっていく、つまり中古になっても適切な手入れをして魅力を維持していれば値段が上がっていく欧米では、部屋の窓から見えるビュー、つまり窓の景色が重要視されます。リビングから見える庭や、2階から見える眺望、近隣の街並みなど「どこを見て暮らしたいか?」というのも、土地選びと間取りの重要なポイントです。

下の画像は、2011年に私が住宅地視察で訪問した米国シアトル郊外の住宅地。日本では別荘地でもなかなかこのような景色を自分の家から見ることはありませんが、米国人は不動産購入で窓から見える景色ロケーションを大切にします。それが将来の資産価値を生むからです。

自らの資産を大切にする分、他人の資産も尊重し、目の前に奇抜な色や形状の建物を建てることもありませんし、マンションで他人の景色を遮ることもしません。日本では無理とはいえ、窓からどのような景色が目に入り、その景色が将来も守られるかどうかは、これから住宅購入しようとする人には大きな選択基準になると思います。

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続いては「チェックポイント2」の”建物の配置を考えよう”です。

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建物の配置を考えよう

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敷地条件がOKであれば、今度は具体的に「建物配置」を考えましょう。

駐車場の位置

敷地と前面道路に高低差があったり、道路に勾配があれば、おのずと車の進入する場所が決まってきますが、敷地が平坦であれば、駐車場の位置によって間取りも影響を受けます。地方では一般的に「最低でも2台の駐車スペース」が要望され、しかも車を前後に並べる縦列駐車ではなく、家族の車であっても自由に出し入れできる並列駐車が好まれます。

1台の車の駐車スペースは、ドアの開閉を考えると2.5m×5mは欲しいので、並列駐車だと道路に面して間口5mの解放空間が必要です。つまり駐車場の位置と広さは、道路に面している敷地の間口と玄関アプローチに影響を与えるのです。

ちなみに不動産の資産価値を重視する欧米では、車は建物よりも奥に引っ込めるか、ガレージに入れるなどして、車の数倍・数十倍する「自慢の資産」である住宅のファサードを魅力的に演出するのが一般的。しかも建物は前面道路と同じだけセットバックしてお隣も壁面位置を揃えるから、電柱電線もなく緑豊かな前庭美しい街並みをつくります。

玄関位置

駐車スペースと並行して考えたいのが玄関位置と道路からのアプローチ。今は門扉のないオープン外構が多いものの、ちょっとした門柱を設けて、アプローチも石やタイルなどで通路を明らかにして、周りに植栽を施せば、建物は引き立ち、新築を購入した満足度も高まります。外構や玄関へのアプローチは、単体のマグカップでコーヒーを飲むのと、きちんとテーブルセッティングされた良質な喫茶店でコーヒーを飲むほど、同じコーヒーでも雰囲気に違いが生まれます。

ベビーカーや車いすなど、アプローチにスロープを作りたい場合や、出来るだけ1階の居室を明るくしたい場合など、間取りを作る時に玄関位置は前後左右に動きます。敷地形状にも関わってくるので、何を優先するのか家族で話し合いが必要ですね。

角地(二方向道路)に立地する敷地のプラン例

隣棟間隔

民法ではお隣の敷地から建物を50cm以上離すことが決められています。都心部や地価の高いエリアでは、狭小地が多いものの、一戸建てであれば工事中の足場組みだけでなく、将来の外壁のメンテナンス雨どいの交換、会え近の室外機や給湯器置き場、勝手口からのゴミ出しスペースなど、通路幅の確保をしたいところです。

お隣との距離は、室内に明るさを取り込む「採光面積」や、準防火地域などの「サッシの耐火性能」、そしてお隣からの空き巣の進入などの「防犯性能」などにも影響を与えます。だからせめて片側だけでも余裕を持った通路や隣棟間隔を取りたいですね!

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ポイントの3番目は”建物の外観をイメージしよう”です!

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建物の外観をイメージしよう

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外部の要素や建物配置が決まったら、通りから見える外観をイメージしてみて下さい。

玄関は建物の顔

時々、家相や風水などにこだわり、玄関が道路に向かずに横を向いたり奥まった場所につくられるケースがあります。しかし家づくりの基本は玄関は通りに正面に向き、建物の顔として玄関ポーチが目鼻立ちのように魅力的に演出したいですね!来客が玄関ドアが開くまでに、雨や風を避けることが出来、通りから室内までは少し見えにくくなるくらいがちょうどいいのです。

画像は米国ワシントン郊外で販売中の中古住宅の外観です。玄関位置はすぐに分かり、家の価値を高めています。

日本の由緒ある建物は、例えば入口上部(玄関ポーチなど)に「唐破風」といった小さな屋根が設けられます。西洋では「ペディメント」と呼ばれ、やはり勾配屋根の切妻が装飾されて、お客さんを迎える顔だちを整えています。これは建築様式やスタイルを構成する大切な要素で、建物の印象を高めます。

屋根のこう配が街並みのリズムになり、家族を「お帰り♪」と迎えて、宅配業者も含めて来客する人が「このお宅は人を出迎えてくれそうだ」と感じられるファサードは魅力的に感じます。

通りから見たシルエット

玄関が顔なら、建物全体のシルエットも重要となります。建物のプロポーションといってもいいでしょう。外観は平面計画に影響を受けるとしても、まずは好みの外観イメージを絞りましょう。日本ではあまり建物のシルエットや建築様式を重視しませんが、海外で美しく魅力的な街並みは、個性豊かでありながら様式美のある外観を採用しています。

例えば「ビクトリアン様式」や「ジョージアン様式」「クラフツマン様式」「プレイリー様式」といえば、どのような特長を持った外観か欧米人にはすぐにイメージ出来ます。例え間取りは同じでも、外観のシルエットで随分と建物の印象が変わります。

屋根形状と外観

7つの外観はすべて同じ間取りです。

全く同じ間取りであっても、屋根形状を変えるだけで外観の印象が大きく変わります。左のアニメは同じ間取りプランでCGを作成したもの。

屋根だけでなく、窓の大きさや位置、バルコニーの有無外壁仕上げを変えているため、全く違う家に見えると思います。玄関位置や各部屋の大きさなどの間取りは同じでも、ハウスメーカー風でも輸入住宅風、和風やデザイナーズ住宅風にすることが可能です。

屋根形状には大きく「切妻屋根」「寄棟」「片流れ」そして「入母屋」があります。新築で最も一般的なのは「切妻屋根」で、三角の屋根勾配が見えて、「妻」と呼ばれる側面の壁がホームベースを上下にしたような建物です。側面の妻部分を斜めカットしているので「切妻」といいます。

プレハブ系の大手ハウスメーカーに多いのが「寄棟屋根」。屋根の一番高いてっぺんを「棟」と呼び、そこに向かって四方の屋根が寄せているから、この名がついています。家を建てる「棟梁」や「棟上げ」など、建築では「棟」という言葉が使われます。

大手ハウスメーカーに多い理由は、道路斜線北側斜線など、住宅地の良好な環境を守るための『斜線制限』が大きいと思われます。自由度の高い工務店や設計事務所は、敷地によってどのような屋根形状でも柔軟に対応できます。しかし大量生産で年間数千棟から数万棟の住宅供給をする大手ハウスメーカーは、第一種低層住居専用地域などの斜線制限が厳しい土地でも、プラン集の中から選べるように、屋根形状も標準化し寄棟屋根であれば、ほぼどのような敷地でも制限をクリアできるからです。

恐らく日本で一番多い屋根形状は、田園風景では見慣れて、北海道を除く本州以南では昔から建てられている民家の屋根『入母屋造り』です。今、新築で入母屋造りを依頼する人はほとんどいないので、解説は省きます。

最近では屋根形状で個性を出すケースが増え、またソーラー発電のために出来るだけ屋根面を広くとるために『片流れ』屋根を採用するケースも増加しています。住宅展などに行くと、様々な屋根形状に出会いますが、実際にはシンプルな形状で、重力に逆らうことなくスムーズに雨どいまで雨や雪が流れていく、一定以上の勾配のある屋根がお勧めです。意外と雨漏りなどのトラブルは屋根形状に起因しています。

郊外の新興団地で行われた住宅展のモデルハウス。20社近くのハウスメーカーが個性を競うから、屋根形状はバラバラです。

Wakamoto
少し専門的になってきましたね!
長くなるので以下の「第二回」のページで♪次は、性能を中心にプラン作成前に知っておきたいポイントをまとめます。

新築一戸建ての間取りを考える時に知っておきたい性能の話【若本修治の住宅取得講座-2】

2018.01.27