【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-38】内装仕上げ下地(クロス下地)

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10号前の講座で、室内の天井組みと壁の下地について解説しました。下地組みと耐火性を高めるための石膏ボード張りまでの作業です。その後外部などの仕上げを終えて室内に戻ってきました。作業前の工程は以下『住宅建築講座-28』にてご確認下さい。

【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-28】内壁下地と天井組み

2018.09.06
Wakamoto
室内の壁や天井の仕上げは、大きく3つに分類されます。壁紙(クロス貼り)か塗装(ペンキ塗り)、そして左官仕上げ(珪藻土やしっくいなど)が採用されますが、日本では8割以上がビニールクロス仕上げです。今回はビニールクロスの下地づくりについて学んでいきます。

パテ処理

自家用車をちょっとぶつけたり、小さな傷をつけた場合に、粘土のようなパテを塗り、サンドペーパーで磨いて下地を平滑にしますが、壁の下地も同様に、石膏ボードのジョイント部分やビス留めの跡などをパテ埋めしていきます。

使用材料

石膏ボード同士の継ぎ目の目地に張る「ファイバー(寒冷紗)テープ」とパテ材の「ジョイントセメント」が基本的な材料です。

コーナー補強

室内の開口部は、ドア枠などが回るため補強は不要ですが、廊下の曲がり角などの凸部分は、モノがぶつかったり擦れたりしやすい個所で、石膏ボードは欠けやすいため、下地の段階でコーナーの補強材を入れます。下記画像の白く見えるコーナー材です。

補強には、プラスチック製のコーナービートが良く使われます。画像のように丸いパンチ穴が空いていて、パテがのりやすい形状です。画像は広島市西区で建築した2階にLDKのある住宅の玄関ホールから廊下や階段に向かう写真です。

石膏ボードの継ぎ目処理

石膏ボードの短尺方向の左右の端は、少しだけ斜めの面取りをして、並べて貼った時にジョイント(継ぎ目)部分に三角形の隙間が出来ます。壁紙を貼った時に、下地の継ぎ目が目立たないように、パテ埋めし平滑に均していきます。この時、寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれるテープを継ぎ目部分に張って、上からパテしごきをしていきます。階段部分のコーナー補強とプラスターボードジョイント部分の寒冷紗テープの画像をご覧ください。

ビス跡補修

石膏ボード同士の継ぎ目部分は寒冷紗テープ(ファイバーテープ)を張って縦目地全体をパテ埋め作業していきますが、中間部にビス留めされた跡は、1か所ずつすべてのビス留め跡にパテ埋めしていく作業が必要です。この作業によって、薄い壁紙でもビスが透けて見えず、不陸のないきれいな仕上がりになります。

Wakamoto
画像は吹抜け空間で足場を架けてジョイント部分のパテ埋めをしている現場と、ロフト空間のある子供部屋の天井にクロスを張っている現場(共に広島市佐伯区)。完成したら分からなくなりますが、見えないところもこれほど手間を掛けて、下地が浮き出たり段差が出たりしないよう丁寧な下地作りをするから、完成後もきれいに仕上がります。

次回は、塗装仕上げの下地づくりを見ていきましょう。

日本は壁紙(クロス貼り)がほとんどですが、欧米では塗装仕上げのほうが一般的です。日本の石膏ボードのように縦に並べるのではなく、もっと大きめのプラスターボードを横張りにする『ドライウォール工法』が主流です。

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≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。