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建築工事の見積書は妥当ですか?【若本修治の住宅取得講座ー13】

注文住宅を建てようとしたら、見積書を見ることなく契約金額資金計画表だけで契約を結ぶことはまずありません。しかし現実には、これまで注文住宅の見積書がどのような形式で、どの程度の明細が書かれているのか、比較する資料も判断する材料もないのが現状です。

自分たちが返済可能な建築費を知ること、おおよその相場を掴むことももちろん大切です。
しかし、坪単価で計算された『建築本体工事』に内訳明細がなく、価格にも快適さにも大きな影響のない「オプション工事」や「付帯工事」のみ工事ごとに詳しく書かれているだけの見積書や資金計画書で、数千万円の支払い約束、数十年もの住宅ローン返済をする意志決定を迫られたら、本当にそのまま鵜呑みにしてハンコを付いてもいいのでしょうか?

今回の記事は、決して住宅会社の営業マンは語らない建築工事の見積書の内訳やチェックするポイントなどをお伝えしていきます。

注文住宅の見積書のチェックポイント

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車の車検などでの点検整備で、部品やオイル交換などが発生する場合をイメージしましょう。数万円から数十万円の作業でも、作業内容や部品に対して「数量」と「単価」が記載され、技術料なども明示されます。
数千万円の注文住宅の建築見積はどうでしょう・・・。

私は現在、広島都市圏にて個人が発注者となる一戸建て住宅の個人入札システム『住宅CMサービス広島』を運営しています。

実家が土木建設業で、仕事を得るために入札が当たり前の環境で育ったことと、大学の建築学科を卒業後に入社した会社で現場監督や見積作成、実行予算組などの実務を経験し、その後住宅リフォームのフランチャイズ本部で、スーパーバイザーとして加盟工務店への指導を行った経験から、住宅業界でも発注者(施主)と施工者(工務店)の間に、役所の専門部署のような見積をチェックする機能、入札制度があればお互いの時間的ロスが減り、スムーズな意思決定が出来ると考えたのです。

2002年からサービスをスタートさせ、その後全国各府県の延べ15カ所でサービスを提供しました。全国で高い潜在ニーズがあり、各地にパートナーとなる専門家と契約しましたが、運営者のスキルや経験、負担が大きく、残念ながら定着に至っていません。そこで私の15年超のサービス運営で得たノウハウを解説することで、サービスのない地域で家を建てる方のお役に立てればと思います。

一戸建住宅の入札事例

以下は平成24年12月に広島市安佐南区で実施した入札の事例です。
建物の坪数は31.4坪の木造二階建てで一部ロフトと固定階段で上がれるルーフバルコニー(屋上)のある注文住宅です。地域密着で年間20棟未満の地元工務店5社が見積入札に参加しました。

付帯工事はE社のみ駐車場の舗装やカーポート、敷地境界のブロック・フェンス等を記載。付帯設備工事は、建物内を除く基礎より外の敷地内の給排水配管工事や桝工事、屋外電気工事等で、A社は「建築本体工事」の建築設備工事に計上しています。

この入札事例の真ん中より少し下の行にある『建築本体工事』が、チラシやカタログなどで表示されている住宅メーカーの「工事金額」で、坪単価の根拠となるものです。1,700万円台から2,000万円まで、本体工事でも250万円程度の差があり、付帯工事や諸経費が計上されます。

あなたが住宅展示場に行って、複数の会社の営業マンと話をし、プランや見積を提示してもらったとしても、この「建築本体工事」自体が”一式いくら”という大きな数字しかなかったら、何を根拠にこの金額と内訳を判断すればいいのでしょうか?

複数の会社の金額を比較しても、高いか安いかしか判断できず、さらに「今月中に契約してもらえば、こんな特典がつきます!」といったテレビ通販のような営業トークを積まれても、数千万円負担するに足る建物かどうか、判断つきません。

内訳書を要求しよう!

上記の事例では、さらに「屋根・外部仕上工事」や「内部仕上工事」など、各工事の金額に関して、部位ごとの工事内訳をつけています。部屋ごとの工事費用も算出しているので、和室を洋室に変えたら金額がどのように変わるのかもシミュレーションが可能な見積です。

実際には、この内訳書の根拠となる見積明細書が添付され、それぞれの部材や工事に「数量」×「単価」が計算されています。その数量が間違っていないかどうか、各部屋の壁の面積や床面積、巾木の長さなど、施主自身でも小学生レベルの計算で検算することが出来るのです。

本来、発注者自身が検算できるような分かりやすい見積書を渡して、詳しく説明と同意を求めるのがプロの責務です。それだけのお金と責任を預かるから、信頼されるのです。とはいえ、これは入札実施の専門サービスを長年提供している私たちのような専門家でなければ、工務店側もこのような明細書を提示してくれて、分かりやすい比較表を作成することは困難かも知れません。

見積書は「数量」×「単価」が記載されていること、そして内訳書が添付されているかどうかで判断して下さい。決して「建築本体工事一式」しかない金額提示でキャンペーンや値引きに心動かされないことが肝要です。自分ではチェックできそうになく、広島近郊の方でしたら、私にご相談下さい。

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プラン変更で分かる見積の精度

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いわゆる『一式見積』で一番困るのは、間取りや仕様を変更した時に、見積価格にどう影響するのか分からないこと。自動車のパーツのように数量が明確でオプションの差額が明示できるほど、住宅は単純で共通化されていません。

例えば床面積は変わらず、リビングと主寝室だけは自然素材の床材と壁仕上げにしたいといった場合、今の複合フローリングとビニールクロスを、珪藻土にするのか漆喰仕上げにするのか、厚み15ミリのオークのフローリングにするのか、厚み30ミリのカラマツのオイル仕上げなのか、購入者は「比較して検討したい」と思うでしょう。

同じ床面積でも、1階に和室を設けて広くし、2階の子供部屋は狭くしてその分吹抜けを設けたいといったケースでも、坪単価計算での「建築本体工事」が同じということにはなりません。吹抜けがある分、実際に床として利用できる面積以上に空間のボリュームは増え、構造材も基礎も増額は間違いありません。「吹抜けがあるケースでは5%割り増しです」というルール作りも出来ないのです。

外皮面積による価格差

建築費への影響で大きいのは床面積だけでなく、外壁の延べ長さ、つまり『外皮面積』も大きな影響を与えます。例えば単純な四角形でも6m四方の正方形の面積は6(6m×6m)で36mとなり、延べ長さは6m×4=24mですね。長方形で4m×9mとしたら面積は同じく36mですが、周辺の長さは26mです。つまり正方形よりも2m長くなり、その分構造材も外壁の仕上げ材も増えるのです。

上記のプランは、もっと複雑な長方体の組合せ。凹状のくびれを中庭として、各部屋から出入りできるように掃出し窓(サッシ)を3か所設けているから、外壁の延べ面積だけでなくサッシのコストも上がります。このような複雑な形状にすると「熱損失も大きい」から、サッシの省エネグレードも含めて断熱性能を上げないと、実際に暮らし始めて快適な暮らしから遠ざかるかも知れません。

注文住宅で家を建てたい人は、実際にはこんな比較をしながら自分たちの購入した土地に合った暮らしやすい間取り、使い勝手のいい動線を検討したいのです。「床面積」というひとつの基準だけで建築本体工事の金額が決まってしまい、どこが信頼できるか、どの会社が値引き幅が大きいのか、そんな比較で業者選びをしてもいいのでしょうか?

建物の性能や暮らしやすさに全く影響を与えない、印象だけの比較です。

部位別見積で詳細を比較しよう!

単に細かく工事内容が分解され、数量と単価が記載されていても、その中身が何か、建築知識のない施主には全く分からないのが現実です。そのためここでも「キッチリと明細を出してもらっている」という印象だけで、いい業者さんだと評価しがちです。

見積の役目は、自分たちが頼もうとしている工事が、どのくらいの金額掛かるのかという『総額』だけでなく、コストを抑えた場合はどのような仕様やスペックになり、元の見積と比較してどちらを選ぶか判断できること。そして別の会社に頼んだ場合に、どのような差がついてどちらが自分たちの求めるイメージに近く、コストパフォーマンスがいいのか「意思決定するための」判断材料が見積書です。

さらに「契約締結」となれば、契約書の金額の根拠として「見積明細に書かれた仕様や数量」が、契約内容として支払いの対価であり、そこが一式見積では、後でトラブルになることは火を見るより明らかです。だってあなたが見学した住宅展示場や完成物件のモデルハウスは、決して標準仕様でもなく、あなたが注文した家でもないのです。

上記の表は、前ページの入札事例で、断熱工事だけ抜き出して各社の見積の内訳を分析したもの。私が発案し運営している『住宅CMサービス広島』では、間取りプランの作成からこのような見積の分析表まで作成し、施主自身が各社に直接話を聞いて何を選ぶのか意思決定することが可能です。

例えばA社~C社は、足元の断熱は『基礎断熱』として床下に冷気や湿気の進入のない環境をつくります。D・E社は床下を断熱するから、基礎には通気口が必要で、冬の基礎部分には冷気も入ってきて夏は湿気が溜まりやすい環境です。自然換気中心なので、温度も湿度も住人ではコントロールできません。

サーモウールの断熱現場。白く見える壁は羊毛の充填なので暖かく感じます。

またA社・B社は古紙を加工した自然素材の「セルロースファイバー」を充填し、E社も羊毛を加工してはっ水や防虫効果を増した「サーモウール」を提案していることが分かります。C・D社は現場発泡ウレタンの「アクアフォーム」吹付けで気密性を高めています。断熱材の厚みの違いや数量の違いなどがあるから、知識のない施主でも違いを尋ねることや比較することが可能です。

そのヒアリングの結果を、右側の空欄に「特長」としてメモ書きし、自分たちなりに性能を◎,○,△,×や、5段階評価などでチェックすれば、最終的にコストパフォーマンスや自分たちの優先順位で、何を評価しどこを選ぶか、施主自ら意思決定することが出来るのです。

NEXT:相見積をしたお客様事例紹介

相見積をしたお客様の事例紹介

Wakamoto
手前味噌になりますが、事例紹介した5社の地元優良工務店で入札を行った方の写真の一部やお客様の声をご紹介いたします。

5社による相見積の結果、施主のK様ご夫妻が選んだのは金額がちょうど真ん中だったC社でした。基礎断熱に断熱材はアクアフォーム、室内はアトピーがひどい長男に配慮して「無添加漆喰」で仕上げました。高台なので、ルーフバルコニーから広島市内が見下ろせます。

許可を得てお客様の声も公開します。

Q.1 この入札サービスを利用された理由をお聞かせ下さい。

住宅展示場の鉄骨の家に魅力を感じなくて、ぬくもりのある木の家が建てたくて、広島の工務店にお願いしたいと思ってました。

広島は全く知らないので、工務店の事も全く分からず、優良な工務店にお願いでき、価格も抑える事が出来る住宅CMサービスを利用したいと思いました。

Q.2 実際に利用されていかがだったでしょうか?

予算の事、家の要望などすべて正直に話しましたが、親身になって聞いてくれて、私達の力になってくれて、理想以上の家が出来そうです。

工務店との交渉のときなど一緒に同席して頂いて、分からなかったらすぐフォローして下さり、とても心強かったです。
工務店さんの事も、すぐに信頼できました。 初めての家作りで、不安な事、分からない事がすぐ聞ける所があるってとても心強いです。

Q.3 家づくりのスタートで困ったことは何でしたか?

予算の事や家の事、もっと勉強しとけば良かったです。
夢のワクワクだけだったので、壁紙1つから決める事が多く、こんなに労力がいるのかと思いました。

Q.4 他の住宅会社と比較して違った点があれば教えて下さい。

若本さん、とっても話しやすいし、優しいです。営業もないです。
なので、ついつい、無理そうな要望もしちゃったり(>_<)すみません!

Q.5 これから家づくりをする人に先輩としてひとこと

たくさんする事があるので夫婦仲良くですね。

Q.6 ご要望や今後の期待があればお聞かせ下さい。

若い?世代って、知識もそんなに無く本当に相手にしてもらえるかなー?等々不安で、相談に行くまでめちゃくちゃ悩みました。 なので、若い人も大丈夫、気軽に相談から~、みたいなアピールがあったら、子育て世代のママ達も行きやすいかもです!

後、若本さん、全然関係ないですが、広島に遊園地等、みんなでワイワイ遊ぶ所を作って欲しいです。博多にはいっぱいあるので、誰かに言いたくて、すみません(>_<)

Wakamoto
私は福岡大学の卒業でもあり、福岡都市圏でもこの入札サービスを提供しました。広島都市圏では100組を超えるお客様の声があるので、ご紹介しておきますね!