【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-20】照明やコンセントの電気配線工事

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≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。

前回と前々回の講座は、窓に関する話でした。
以下をクリックしてもらうと復習することが可能です。

建築工事の工程で、棟上げ間もない時期に大工さんと並行して作業するのは、電気設備の工事です。具体的には、照明やコンセント、スイッチ類などの屋内配線工事を進めます。今回は屋内の電気工事に関して解説していきます。

Wakamoto
電気工事自体は『第二種電気工事士』の有資格者が行いますが、施主も最低限知っておいたほうがいい工事です。

屋内配線工事

今や、電気は生活になくてはならないものですが、生活で見えるのは「コンセント」や「スイッチ」だけで、屋内の配線工事がどのようになっているのか目にする機会がありません。通常、天井裏や壁の内部にVVFケーブルという電線を張り巡らせ、最終的には分電盤に繋がれます。

電気配線工事は、天井裏に配線される「照明器具配線」と、壁の内部に配線される「スイッチ・コンセント」に大きく分けられます。いずれも断熱材やプラスターボードが張られる前に配線を終わらせます。今は、火災報知機家庭内LAN配線、電話テレビ配線などもあるので、用途に応じて色を変え、間違わないように配線されます。

ジョイントボックス

ケーブルは1つの配線で使われる器具やアンペア数が決まっている照明用の配線を1.6mmの電線、いくつもの電気機器をつないで許容電流に余裕が必要なコンセント用には2.0mmの電線が2芯になっているVVFケーブルを配線します。

天井裏の梁や桁にケーブルをステープルで留め、接続部分は「ジョイントボックス」と呼ばれるケースでカバーします。配線にたるみがないようにしっかり固定され、束ねられているか確認します。以下参考写真です。

 

コンセントボックス

コンセントは一般的に床から20cm程度の高さ、スイッチは1.2m程度の高さに取り付けられます。電気配線時には、柱や間柱に樹脂製または金属製のコンセントボックスをビス留めします。コンセントは自由な位置に付けたいといっても、柱や筋交いなど重要な構造材を欠くことは出来ないため、一定のルールで取り付けます。

画像はZEH(ゼロ・エネルギーハウス)の施工例。コンセント部分から漏気して、寒い風が入って来ないように、コンセントボックスの回りに半透明のカバーを取り付けています。これで建物の気密性能が高まります。

耐火仕様住宅に求められる性能は、気密や断熱だけでなく、建築場所によっては『準防火地域』など建物の耐火性能が求められます。コンセントも樹脂製で簡単に溶けてしまい、壁内に火が回ってしまうと、いくら”火に強い”タイガー印の石膏ボードを使っていても構造材が燃焼します。

そこで、鋼製のコンセントボックスの登場です。樹脂製のコンセントボックスとは違い、ボックス自体には電線を通す場所以外は穴がなく、気密性も高いので、電線を挿入した後、電線の隙間を粘土で埋めて気密性と耐火性を保ちます。

外壁に面した壁にコンセントをたくさんつけたいケースも少なくありませんが、コンセントボックスの厚み分、断熱材の厚みが少なくなり、断熱欠損になり得ることも考慮し、出来るだけ室内側の壁にスイッチやコンセントを配置することをお勧めします。
Wakamoto
建売住宅は、まずこんな手の込んだことはしません。注文住宅で丁寧にする工務店は、目に見えないこんなところにも手間と注意を払うのです。

その他配管工事と外部引込み

電線以外を通すCD管・TL管

屋内の電灯配線は、電気工事屋さんがVVFケーブルを配った後、断熱材を充填し、壁や天井をプラスターボードで塞いでもその後の作業に支障はありません。しかし、テレビアンテナや電話配線、有線のLAN配線やCATVなどは、工事完成間際に専門の工事業者が入るので、あとで線が通せるようにTLフレキCD管と呼ばれる中が空洞になった空配管を先行配管しておきます。

画像のオレンジ色のジャバラ管がCD管です。
比較的固い材料で、自由に曲がるため、通信ケーブルなどを通すリード線があればあとで同軸ケーブルなどの線も入れられます。ここの現場では耐火性能を担保するため、粘土で隙間を埋めています。もちろん天井を塞ぐと隠れる部分も石膏ボードで火が燃え移らないようにしています。(某アパートメーカーでは、この耐火構造違反が報道されました)

外部引込み

屋内の配線は、回路ごとに分電盤で集約されます。
外の電柱から屋内に引き込む箇所は、外壁下地(透湿防水シート)でしっかり防水や気密が確保できるよう、取り合い部分をチェックします。

画像の箇所には外壁が出来て完成直前に、電力会社の電力メーターが取り付けられます。

Wakamoto
外部電源として、勝手口の照明エコキュートなど外部電源、外部の防水コンセントなどもあり、それぞれ水が浸入しないように慎重な施工とチェックが求められます。

分電盤と専用回路

昔の家は、コンセントからたこ足配線で家電製品を使っていたので、エアコンと電子レンジを同時に使ったりすると、よくブレーカーが落ちて室内が停電状態になっていました。ブレーカーがあるのが『分電盤』で、過電流が流れると安全のために『アンペアブレーカー』のスイッチが自動的に切れます。また『漏電遮断器』もセットになっていて、屋内配線や家電製品が漏電を起こしたら、異常を察知してスイッチを切ります。火災感電の予防です。

現在の新築は、数多くの家電製品、照明器具の使い分けなどもあって、電気の回路数が多くなっています。二階建ての一般的な住宅でも16~24回路程度の分電盤を付けています。

1回路で15A(アンペア)の電気容量が目安で、日本の家庭用電力は100Vの電圧なので、1回路の使用電力の目安は15A×100V=1,500Wです。分電盤には、それぞれの回路に部屋名や用途が書かれています。

専用回路

電気の使用量の大きな電化製品は、コンセントを同じにして他の家電製品も使えると、過電流でブレーカーが落ちる頻度が高まります。特にオール電化住宅が一般的になり、クッキングヒーター(IH)や電気温水器(エコキュート),電子レンジエアコンドライヤーなど電気容量の大きな家電を一度に使う機会も少なくありません。

そこで、上記のような電化設備や電化製品は、単独の電気配線をし「専用回路」とします。冷蔵庫水槽など、常時通電していて切れてしまったら困るような電気設備も専用回路にします。

特に「深夜電力」を使うオール電化住宅は、タイマーも必要となり、昼間電力と分けられます。またゼロエネルギー住宅のように、太陽光発電を搭載した家も、ソーラーで発電した直流の電気を交流に変換する『パワーコンディショナー』や、売電用の連携ブレーカーなど専用分電盤を選びます。

HEMZ(通信機能)

今や、『スマートHEMZ』と呼ばれる、発電や電気の使用量をパソコンで確認できるようなシステムも家庭で利用されるようになってきました。

画像はパナソニックのHEMZを採用したZEH住宅で、メーカーからHEMZの仕様説明を受ける広島市佐伯区のご夫婦。すべての電気使用がパソコンで見える化され、省エネ意識も高まります。

太陽光発電を搭載した家では、キッチンもお風呂(給湯)もオール電化が基本です。特に共働きで昼間自宅にいないご家族であれば、お昼の割高な電気を電力会社に買い取ってもらえます。

Wakamoto
電気工事でも、家庭用火災報知機や埋め込みスピーカーなど「弱電設備」もありますが、今回は工事工程前半の電気配線工事を解説しました。インターホンなども含め、また後半で解説いたします。
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≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。