人で選ぶ
住宅取得された方のアンケートや取材記事を見ると、多くの人が「信頼できる担当者だった」と、依頼先の会社やプラン以上に「人に恵まれた」から成功したと感じています。しかし多くの場合は「初対面の営業マン」の印象とその後の数回の打合せで「自分たちの家を任せよう」と意思決定しているのです。
「一目惚れの恋愛」とまでは言わないまでも、数回のデートで婚約(=工事請負契約)を申し込まれ、トントン拍子で挙式の日取り(=お引渡し日)まで決められるようなもの。恋愛結婚では、周りの人たちにも紹介し友人や親族からの助言や印象も得られます。しかし、住宅取得の場合の営業マンは『婚約請負人』のようなもので、婚約に至るまでのエスコートを完ぺきにこなし、数多くの婚約者をつくるための教育訓練を受けているといっても過言ではありません。
つまり『結婚詐欺師』とまでは言わないものの、仕事として顧客心理を研究し、いかに効率よくエスコートできるか会社からも求められている人材が、あなたに婚約を迫ると考えて冷静に比較・判断されることを勧めます。「彼は本当に私たちを幸せにすると心から思っている人なのか?」ということです。
契約の時点では違約金を払えば逃げられます。しかし工事が着工し第三者のインスペクション(建築中の建物の詳細検査)に入ってもらって工事の精度が低く、当初の約束を履行しないとしても、この時点で出来ることは限られます。だから「信頼できそう」とか「熱心だ」という情緒や感情ではなく、人事の担当官として、採用面接するくらいのシビアさで相手を見極めて下さい。私がお勧めする人の選び方は以下の通りです。
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個人の経歴・職歴を把握する
営業担当者は、こちらの家族構成や勤務先、年収など、数多くの情報収集をしますが、こちらは相手の勤務先だけ。言葉の巧みさや淀みないセールストークよりも、もっと相手の担当者のことを知りましょう。最も聞きたいのは「なぜ住宅業界に就職し、今の仕事を続けているのか・・・?」
どこで生まれ育って、両親や家族はどのような人なのか?どのような家に住んできたのか?
そして最終学歴で進学した時に選んだ学部や学科。就職で選んだ業界とその理由。今の会社に勤め始めての経験年数や仕事の内容、これまで家づくりをお世話した方々の家族数や入居後のお付き合いの様子まで・・・。
その担当者が、仕事で大切にしていることや過去に契約したお客様を大切にしているかどうか、そのくらいのことは聞いてみるのです。趣味や出身地などで共通の話題が見つかるかも知れませんし、逆に相手の担当者もあなたと親密な関係になれば「契約数字を上げる対象」から、このご家族には社内でも優秀な設計者と現場監督を付けてあげたいという「大切なお客様」に変わる可能性も高まります。
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持っている公的資格を確認する
名刺には肩書や所属部署が書かれていますが、それは組織側が勝手につけたもの。
多くの住宅営業マンは『宅地建物取引士』の資格取得を会社から推奨され、住宅ローンの勉強のため『住宅ローンアドバイザー』などの資格も持っているかも知れません。しかしこれらの資格は「販売のための資格」であり、快適な住まいを提供するために学ぶ経験や知識は表していません。
出来れば『二級建築士』や『建築施工管理技士』などの、理系・技術系の資格を持った人が望ましいですね。それは、何も建築学科を卒業している必要はなく、本当にやる気があり、お客さんにいい家を引き渡したいと願う熱心な担当者は、営業担当であってもチャレンジし、合格できる資格です。
現場経験を積んで、会社から営業部門に異動するように辞令が出た人もいるでしょうし、自分の建築知識のなさでお客さんに迷惑を掛けると考え、資格学校に通った人もいるでしょう。口先だけの営業トークを磨く人よりも、やはりこのような「現場のこと、建築のことを学ぼう」という姿勢のある人を選びたいですね。
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自宅を建てる場合の優先順位を聞いてみる
住宅を販売しているプロが自宅を建てる時、何に注意して何を優先するのか聞いてみるのは参考になるもの。
すでに自宅を持っている人には、どこで建てたかを聞いてみると人となりが分かります。まだ賃貸に住んでいる人だったら、将来自分が勤務している会社で家を建てるかどうか聞いてみましょう。100%本心かどうかは不明ですが、その時に社内では誰に設計してもらい、現場監督や大工さんは誰を指名するか、そして家づくりの優先順位やこだわりたいところなどを聞いてみると参考になると思います。
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