住宅会社の選び方(ハウスメーカー編)【若本修治の住宅取得講座-8】

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実績で選ぶ

「ハウスメーカーの選び方」の最後は、やはりその地域での『実績』です。
小売流通業の大手『イトーヨーカ堂』やコンビニ大手の『セブンイレブン』などは、物流(商品配送)や地方局のテレビCM、地域での知名度などで競合に対して優位になるために『ドミナント戦略』という”集中出店”をしてきたのはビジネス界では良く知られています。逆に言えば、物流の効率が悪く知名度の低い都道府県には、出店しないという戦略です。

一般の方は、ハウスメーカーも「工場生産による”量産効果”」で、製品コストが下げられていると勘違いしている人がほとんどです。しかし事業における最大のコストは「人件費(含む社会保険料等)」であり売上が減っても負担を減らせない「オフィスや店舗の固定費」です。

県内に複数の住宅展示場に出展していたら、その費用負担は莫大です。
ドミナント戦略をとらずにどの都道府県にも進出しているとしたら、さらに地元テレビ局でのCM折り込みチラシなど、広告宣伝費も大きな負担です。自分たちの県下で年間どの程度の住宅着工をしているのか、調べてみたほうがいいでしょう。仮に100棟であれば、毎月の巨大な経費は10組を満たないお客さんが負担しているのです。

工場生産で断熱性能の高さをテレビCMで放送している住宅でも、ヒートブリッヂという現象が出ていることが分かる。道路に面した壁面で「鉄骨の柱の位置」が特定できるのはその現れ。

広島県内ハウスメーカーの着工ランキング(1~5位)

私が住んでいる広島県内で、2016年の大手ハウスメーカー上位5位の実績が、住宅産業新聞社の調査により、日経BP社から発表されていました。5位以下のメーカーの実績までは不明ですが、この実績数字を12で割れば、各社の1か月間の契約実績が予想できます。つまり一か月間に掛かっている県内すべての支店・営業所の経費は、すべてこの数字の「お客様の数」で賄っているのです。

県内で実績の多い会社は、少ない会社よりも固定費が十分賄えている分、値引き要請に対して「減額余地がある」と考えられます。また土地情報や「建築条件付き分譲地」なども下位メーカーよりも豊富でしょう。県内の支店・営業所に勤務している従業員数や、住宅展示場に出展しているモデルハウス数なども比べると実態がよく分かりますが、テレビCMを良く流している有名メーカーといっても、県内の実績とは連動しません。

5位の大東建託は、恐らくアパート数がかなり含まれている。
ランキング外に多くの有名ハウスメーカーがあり、月10棟未満の受注がほとんどだと思われる。

県内で実績が低いメーカーは、経営効率が悪く、拠点や展示場維持のために、余分な経費が見積の中に含まれている可能性があるということも判断材料にすることをお勧めします。またメーカーの『長期保証』は、一般よりも短いサイクルで、割高な有料メンテナンスをする前提で組まれていることが多いため注意が必要です。実際には半額程度でできるものも、メーカー指定の工事をしなければ「保証は解約される」という事例もあるようです。

Wakamoto
ここまで「ハウスメーカーの選び方」を解説してきました。次は、さらに数が多く選ぶのが難しい「工務店の選び方」について書いていきますね!

さいごに

この長い解説ページを最後までお読みいただいた方は、私が「大手ハウスメーカーをあまり勧めていない」ということが何となく分かったと思います。優秀な営業マンもいますが、やはり私がプロとして自宅を建築する場合に、お願いしたいハウスメーカーは皆無です。だから自分だったら「こんな方法で家づくりをする」と考案したのが2002年にスタートした『住宅CMサービス広島』です。

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≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。