実績で選ぶ
「ハウスメーカーの選び方」の最後は、やはりその地域での『実績』です。
小売流通業の大手『イトーヨーカ堂』やコンビニ大手の『セブンイレブン』などは、物流(商品配送)や地方局のテレビCM、地域での知名度などで競合に対して優位になるために『ドミナント戦略』という”集中出店”をしてきたのはビジネス界では良く知られています。逆に言えば、物流の効率が悪く知名度の低い都道府県には、出店しないという戦略です。
一般の方は、ハウスメーカーも「工場生産による”量産効果”」で、製品コストが下げられていると勘違いしている人がほとんどです。しかし事業における最大のコストは「人件費(含む社会保険料等)」であり売上が減っても負担を減らせない「オフィスや店舗の固定費」です。
県内に複数の住宅展示場に出展していたら、その費用負担は莫大です。
ドミナント戦略をとらずにどの都道府県にも進出しているとしたら、さらに地元テレビ局でのCMや折り込みチラシなど、広告宣伝費も大きな負担です。自分たちの県下で年間どの程度の住宅着工をしているのか、調べてみたほうがいいでしょう。仮に100棟であれば、毎月の巨大な経費は10組を満たないお客さんが負担しているのです。
広島県内ハウスメーカーの着工ランキング(1~5位)
私が住んでいる広島県内で、2016年の大手ハウスメーカー上位5位の実績が、住宅産業新聞社の調査により、日経BP社から発表されていました。5位以下のメーカーの実績までは不明ですが、この実績数字を12で割れば、各社の1か月間の契約実績が予想できます。つまり一か月間に掛かっている県内すべての支店・営業所の経費は、すべてこの数字の「お客様の数」で賄っているのです。
県内で実績の多い会社は、少ない会社よりも固定費が十分賄えている分、値引き要請に対して「減額余地がある」と考えられます。また土地情報や「建築条件付き分譲地」なども下位メーカーよりも豊富でしょう。県内の支店・営業所に勤務している従業員数や、住宅展示場に出展しているモデルハウス数なども比べると実態がよく分かりますが、テレビCMを良く流している有名メーカーといっても、県内の実績とは連動しません。
県内で実績が低いメーカーは、経営効率が悪く、拠点や展示場維持のために、余分な経費が見積の中に含まれている可能性があるということも判断材料にすることをお勧めします。またメーカーの『長期保証』は、一般よりも短いサイクルで、割高な有料メンテナンスをする前提で組まれていることが多いため注意が必要です。実際には半額程度でできるものも、メーカー指定の工事をしなければ「保証は解約される」という事例もあるようです。
さいごに
この長い解説ページを最後までお読みいただいた方は、私が「大手ハウスメーカーをあまり勧めていない」ということが何となく分かったと思います。優秀な営業マンもいますが、やはり私がプロとして自宅を建築する場合に、お願いしたいハウスメーカーは皆無です。だから自分だったら「こんな方法で家づくりをする」と考案したのが2002年にスタートした『住宅CMサービス広島』です。