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建築条件付きとは
探しているエリアでは、比較的立地条件が良く、手頃な価格の物件ほどこのような条件が付けられます。多少高くても売れる確率は高いものの、仲介手数料はそれほど変わらないから、土地価格を安めに出して建築費の中から利益(紹介料のキックバック)を増やしたいというのがほぼ9割超です。
ケーススタディで理解する
なぜ魅力的な物件ほど建築条件付きの物件が多いのか、ケーススタディで考えてみます。
2000万円の土地仲介のみの仲介手数料 2000万円×3%+6万円=66万円(税別)
<ケースー2>土地を5%安くして建築条件を付けた場合
(1) 不動産仲介料 1900万円×3%+6万円=63万円(税別)
(2) 建築紹介料 2200万円×2%=44万円 ※キックバック 【合計】107万円(税別)
<ケースー3>土地契約後に「建売りにしたほうが安くできる」と説得された場合 ※違法行為
土地価格2000万円+建物価格1800万円=3800万円×3%+6万円=120万円(税別)
「土地だけではローンが組めないので、安く建築できる業者で建売りにしたらローンが通りやすい」などと巧妙に説得する業者あり。契約を「建売住宅」に差し替えるので、宅建業法違反となる。
悪質な業者であれば「ケース-3」のように親切を装い、自社の仲介手数料を最大化する取引に誘導する事例もあります。
街並みの景観を守るために、同じ業者さんに施工してもらいたいというケースや、建築業者が購入した土地で、まとめ買いで安くなった分、自社に施工を頼んで下さいというケースもあります。その場合は施工場所もまとまっていることから、施工費もコストダウンが期待できますが、それほど良心的な業者は、購入者に不利になるような条件を付けないと考えたほうが確かです。
上記の看板の事例では、大規模な宅地造成をした開発業者が、大手ハウスメーカーの営業力と商談スタッフの人数を頼りにして、大手3社の建築条件付きで土地販売した事例。建築条件付は「特命で工事発注する」ようなもので、公共事業でイメージすれば「競争原理が働かない」割高な工事費負担をさせられるということ。購入者にとれば仮にその会社に依頼したいと思っても、価格の自由度もプランの柔軟性も少ない取引となります。
独占禁止法による制限
建築条件付の土地取引は、本来「個人の資産」である土地を、購入して所有権移転後にはどのように利用し、どこの設計者に依頼しようが施工者をどこに決めようが個人の自由であるべきです。契約自由の原則を阻害するような「抱き合わせの販売行為」に関しては『独占禁止法』に触れるとされていますが、業界ルールとして以下の回避策で独占禁止法を逃れているのが実態です。
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契約の有効期限
概ね3か月間で設計や仕様決めをし、工事請負契約を締結する。
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停止条件
期限内に請負契約が交わされない場合は、契約自体がなかったものとして、手付金・仲介手数料他一切のお金を返金する。
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請負者の制限
建築を請け負う業者は、その土地の売り主(子会社含む)かその代理人でなければならない。
建築条件付を解除できるか?
気に入った土地で、建築会社も自分で探さなくていい『建築条件付』取引は、概ね「セットプラン」と呼ばれる推奨プランが用意されています。建売りと違って、実際に建物が建っている訳でも、役所に確認申請が提出されている訳でもなく、推奨プランが気に入らなければ、自分たちの希望を伝えて自由設計の家をつくることは可能です。
しかし指定の住宅会社・工務店が、実際に自分たちの希望を叶えるような設計や性能・仕様が出来るかどうかは契約時点では分かりません。そこで3か月程度の期間でプランの作成や見積をお願いし、何度プランを書き直しても設計力がないとか経験値が浅くて不安だという場合は、土地契約自体を期限内に解除すれば、土地契約自体なかったことに出来ます。
とはいえ、また一から土地探しを再スタートし、入居時期が遅れて家賃を払い続けるのもバカらしいことです。売り主と指定の建築業者が別の法人の場合、仲介業者の目的は「ひとつの不動産物件での手数料収入の最大化」なので、建築業者からキックバックされると想定される金額を割り増し負担することで、建築条件を外してもらえる可能性もあります。
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