二世帯住宅のトータル価格を抑える5つのヒント【若本修治の住宅取得講座ー11】

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戦後の日本は主要都市が破壊され「住宅不足」から戦後復興がスタートしました。
昭和三十年代にはプレハブ住宅メーカーが次々と生まれ、昭和43年には住宅不足は解消したものの、その後も年間100万戸を超える住宅が毎年供給されました。所得倍増計画による経済成長と、戦後生まれの『団塊世代』の旺盛な持ち家志向によって、全国でマイホームを持つ家族が増えたのです。

今や、日本全国で800万戸の住宅余りになり空き家も増えてきました。
すでに住宅は十分過ぎるほどの数があるものの、建物自体は老朽化し、現在の耐震基準に満たない住宅も増えています。土地神話によって土地価格が上昇し、郊外にスプロール化した戸建住宅も、通勤や買い物には不便となりました。住宅取得も徐々に「都心回帰」が顕著で「都市近郊」の利便性の高い地域で求めるようになってきたのです。

持ち家志向が高かった団塊世代では「核家族化」が進み、その子供たち(団塊ジュニア層)が自分の家を持ちたい年齢になった頃には地価も沈静化したものの、デフレ経済が続き、収入のアップも見込めなくなったのです。自分たちが育った実家があるのに、高騰した土地価格を負担して新たに注文住宅を建てるのはリスクだと考えた人たちが、古くなった実家の建て替えと併せて『二世帯同居』で土地代を浮かす二世帯住宅が次第に増えてきました。

そんなニーズに合わせて、大手ハウスメーカーも二世帯住宅の商品を出し、今も二世帯住宅を検討する人が数多くいらっしゃいます。私も数多くの二世帯同居の相談に応じて、様々な二世帯住宅建築のサポートを行っているので、これから検討される方向けにポイントをまとめてみました。

二世帯住宅はなぜ高くなるのか?

すでに住宅展示場に行って各ハウスメーカーのカタログを集め、実際に話を聞かれた方もいらっしゃると思います。二世帯住宅を建てる多くの方は、親が所有している土地で実家を解体して”家を建替える”ケースがほとんどなので、土地負担がない分建物建築費は子世帯の負担となることが一般的です。

恐らく自分たちが当初予定していた以上に建築費が掛かると言われるケースのほうが多いため、なぜ価格が高くなるのかその理由を探ってみたいと思います。

最低床面積が大きい

二世帯住宅といっても、(1)玄関も分けて違う所帯の住宅とする『完全分離型』と、(2)LDKや浴室など生活空間は分けるものの玄関は1つとする『部分供用型』、そしてあたかも「核家族」のように(3)水回りも含めた家族の生活空間はひとつで、寝室や子供部屋などのプライベート空間だけ個々に設ける『同居型』に分かれます。アニメのサザエさんの磯野家のような大家族の家ですね。いずれにしても住む人の人数が多いので、個室の部屋数が増えて最低床面積は単世帯の住宅よりも大きくなります。

特に、生活空間を世帯で分ける場合は、玄関は共用でもそれぞれの世帯で25坪程度の床面積、部屋数は確保したくなるため、建物が50坪を超えるケースが多いようです。核家族の単世帯であれば5~6人家族でも通常は40坪前後で収まります。

解体費用や水道引込みなど
付帯工事費用の増額

二世帯住宅を建てる場合、古くなった自宅を売却して新たに土地を買い求めるケースでも、古い家が建っている中古住宅を買って建替えるというケースがほとんどです。建物解体費用はもとより、昔の家は水道も13ミリの配管で十分なケースが多く、新しく建てる家は以前よりも給水個所が多いため24ミリの給水引込みや水道メーターにやり替えとなり、付帯工事も大きくなりがちです。

解体費用も、廃棄物の種類によって細かく分別し、マニフェストをつけて最終処分場まで管理されるため、作業の手間や運搬費用が割高になっています。木造で解体しやすい条件であっても、古い建物の床面積×3万円程度の費用は予算化しておいたほうがいいでしょう。最低でも100万円の予算です。

営業のバイアス

自分たちは建築費を抑えたいと思っても、すでに土地を所有していて「土地代の負担がない」となれば、どうしても財布のひもが緩みます。情報収集のために行った住宅展示場の営業マンや設計事務所、工務店でも二世帯住宅を計画していると告げると、その時点で『優良見込み客』として、土地なし客と比較して建築費のグレードが上がります。

特に住宅展示場に出展しているハウスメーカーにとっては、土地を所有して逃げることがない見込み客が向こうからやってきて、しかも親世帯はすでに仕事から引退しているので、いつでも世間話の相手として営業を受け入れてくれるケースがほとんどです。この優良見込み客を逃がしたら、営業会議でこってり絞られるから、頼んでもいないのに敷地の調査地耐力検査参考プランの作成から概算見積まで、訪問理由をつくって積極的にアプローチしてきます。

普通はお金を請求されることはありませんが、会社としては人件費も外注費も掛かっているから、どのくらいの売上が予定されて利益確保の計算までして営業攻勢をしているのは間違いありません。親世帯と子世帯と、意見の衝突や要望の食い違いは日常茶飯事だから、何度も設計変更し、仕様選びもとん挫することは織り込み済みの予算が計上されるのです。

だから、ハウスメーカーで二世帯住宅を建てる場合は特に、親世帯と子世帯の生活時間の違いから好みの違いなど、ほぼ『完全自由設計』となるため、メーカーの標準的な坪単価や建築本体工事では収まりません。オプションや特注工事、造り付け家具などコストアップ要因が次々と発生するのが二世帯住宅です。

Wakamoto
平屋の家でも似たような状況となります。
以前書いた平屋の間取りと建築費も参考にして下さい。

平屋の間取りと建築費【若本修治の住宅取得講座ー10】

2018.02.21

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ABOUTこの記事をかいた人

≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。