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生活のトータルコストを把握しよう!
二世帯住宅の建築に掛かるコストは、なかなか自分たちでコントロールは出来ません。
せいぜい発注可能な予算を自分たちではじき、建物の規模やグレードなどを選択して、複数の会社から相見積で見積を比較してみることくらいでしょう。広島近郊であれば、私自身が競争入札を実施し、見積の中身の精査から現場着工後のインスペクションまで行う『住宅CMサービス広島』を利用できますが、それ以外のエリアでは個人が見積比較をするのは難しいと感じます。
建築費以外でも、二世帯住宅ならではの生活コストの見直しを考えたいですね!
生活に掛かる負担の抑制
毎月家計簿をつけている方であれば、毎月ほとんど変動がない「固定的支出」と変動の激しい「変動的(趣向的)支出」があることは気づいていらっしゃいます。住宅ローンや教育費、各種保険などは簡単に変わらない「固定的支出」です。二世帯同居によって建築時に将来的な家計支出を抑えられることが出来るものを抽出していきましょう。
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水道光熱費及び通信費
冷暖房や給湯に掛かる光熱費は、建物の向きや断熱性能(特に開口部の性能)に大きく影響を受けます。エネルギー争奪で戦争が起き、エネルギー相場が生活に影響を与えることを考えると、出来るだけ建築時に省エネの住宅を建てておきたいもの。
断熱性能の高さだけでなく、外皮面積の最小かからエネルギーの時給・自家発電(ソーラーや燃料電池によるコジェネ等)も検討課題でしょう。省エネ性が高く実質エネルギー収支がゼロになる『ZEH住宅(ゼロ・エネルギー・ハウス)』などは、単世帯よりも多世帯で使うほうが1世帯当たりの負担が小さくなります。ソーラーであれば屋根面積が広いほど発電量が増え、投資効率も高まります。
ドイツの環境都市フライブルク市を視察した時、20世帯程度の賃貸住宅で、屋根にソーラーパネルを載せ、地下室(地階)には機械室がある賃貸物件を見学しました。『パッシブハウス』と呼ばれる超省エネの建物に、マイクロガスタービンによる発電機から、共有のランドリースペースに業務用の洗濯乾燥機や大型冷凍庫が設置され、電気使用や水道利用が大きく共用で負担したほうが経済合理性があり環境負荷が小さいものは、投資効果を計算した上で大胆に採用していました。
ドイツのように徹底できなくても、共同利用することで下げられる支出はいくつもあるでしょう。それは他人に賃貸しても共有も単独利用も選べて、単世帯が負担するより経済合理性がある支出です。上記の賃貸物件の設備投資は長くて11年、短ければ9年で投資が回収できると計算できたものを採用しています。 -
税負担の抑制
不動産を所有していると、様々な税金が掛かってきます。
新築時には不動産取得税から入居後の固定資産税・都市計画税、親からの生前贈与における贈与税から、親が亡くなった時に発生する可能性のある相続税など、それぞれの事情に応じて決して少なくない税負担が発生します。逆に『住宅ローン減税』など、一旦納付して還付される税金もあり、気づかないうちに大損をしている可能性もあるのが税金です。税率だけでなく、制度も毎年のように変更されるので、詳しくは専門サイトで調べていただくか、地元で改行している税理士さんに相談いただくとして、基本は書籍などで把握しておいたほうがいいでしょう。私が出演したフジテレビの『ホンマでっか!?TV』で、マネーの専門家として隣で回答された一級ファイナンシャル技能士(CFP)の竹下さくらさんなど、何冊か本を購入されることをお勧めします。
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金利負担の抑制
住宅ローンの金利もバカになりません。
低金利だからと言って、営業マンの勧められるまま『変動金利』の定額ローンを組むと、将来金利上昇した時に、返済額が大きく変動し、負担しきれなくなる可能性もあります。今の収入がそのまま続くとは限らず、プロでも読めない金利の変動に一般市民が変化を先読みして損失回避などは出来ません。固定期間のある変動金利も、返済金額が変わらずとも金利自体は変動しているから、ローンの内訳の金利部分が大きく元金はほとんど減っていないということもあるのです。2千万円を借り入れたとして金利が0.3%づつ変動した場合の15年から35年間、5年刻みの返済金額を計算してみました。返済期間が長いほど、たった0.3%の変動でも100万円単位で返済額が増えるのが分かります。
住宅ローンを組む時、今の賃貸住宅の家賃を参考に返済額を設定する人も少なくありません。しかし二世帯住宅の場合は、将来の賃貸経営も視野に、出来るだけ早めに返済を終え、将来の家族構成の変動にも柔軟に対応できるようにしておくことを勧めます。しっかりとした維持管理でリフォーム資金も準備できていれば、いざという時に安心です。
余裕がない人でも、住宅ローン減税で還付される資金(年末のローン残高の1%等)を生活に使わず、ローンの繰り上げ返済の原資に使うなど、出来るだけ余計な金利を払わず、早くローン完済を目指しましょう。返済額を減額する繰り上げ返済よりも、期間を短縮するほうが金利削減効果は高いです。低金利時代の長期の借り入れは、原則「固定金利」が安全です。フラット35で繰り上げ返済していきましょう。
ライフプランを考えよう!
住宅建築をする際、これまで入っていた生命保険も無駄なものに入っていないか見直しをするいい機会です。住宅ローンを組む時に『団体信用生命保険(通称「団信」)』加入が融資条件になるケースがほとんどです。住宅ローンの返済者が、事故や病気などで亡くなったり、重度障害で返済が不能になった時に、本人に代わって保険会社が住宅ローン残高を一括返済するという保険で、その名の通り「団体割引」が適用されます。
この団信に入ることで、残された家族は住宅ローンの支払いを免れ、住居費負担が軽くなる分、これまで掛けていた保険は減額することが可能となるのです。今は、複数の保険会社の商品を扱う『保険の窓口』などの来店型サービスやネット保険など、保険を比較するサービスが数多くあるので、家族の生命保険も含めて見直しましょう。火災保険も同様です。
大家族が一緒に住む二世帯住宅は、進学に伴う教育費だけでなく、将来の介護や相続も含めて、ライフステージの変化が大きいのが特徴です。家族構成の変化によるライフステージが変われば、当然乗る車から遊びなども変わっていき、ライフスタイルも変わっていかざるを得ません。自分たちのライフスタイルに合わせて建てたはずの住宅が、ライフステージの変化によって足かせになり得るのです。
私のお客さんでも、住宅取得を機にファイナンシャルプランナーの資格を取得した方が何人もいらっしゃいます。プロのFPとして開業し、投資の相談や相続の相談に応じている方々の表情を見ると、家族の明るい未来を感じます。今は、生命保険会社でも様々なライフプランづくりのソフトがあり、簡単にシミュレーションしてくれますが、やはり自ら学び、自ら家族のライフプランづくりをされることをお勧めします。
私が付き合いがあって、プロになる学びの場をご紹介しておきましょう。
■マネーバランス・クリニック ⇒ https://ssl.alpha-prm.jp/moneybalance-clinic.com/
■日本マネーバランスFP協会 ⇒ http://www.jmbf.jp/
このページではトータルコストを考えていきましょう。