【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-10】足場組みと建て方準備

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≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。

前回の講座は、基礎の上にステージをつくる『土台敷きと剛床・床断熱』のステップを説明しました。前回の講座の復習は以下をクリック下さい。

【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-9】土台敷きと床断熱

2018.04.26

いよいよ構造材を組み上げて、建物の姿が現れる『建て方』に進みますが、その前準備として今は”外部足場組み”が行われます。土台敷きで特厚合板によるステージが出来た後、柱や梁・桁などの構造材が搬入され、上棟の日に組み立てていく順番を配慮して構造材が並べられます。

建て方準備(構造材配置)

Wakamoto
一般の方は、施主であってもほとんど目にする機会はありませんが、この構造材の置き方で、棟上げの日の午前中の工事の段取り、進捗スピードに大きな影響を与えます。事例写真を紹介してみましょう。

上記の画像は、屋根の形のように見えますが、屋根勾配のように並べられているのは屋根の「垂木」ではなく、1階壁の「」です。屋根頂上部の「棟木」のようにみえるのは「通し柱」で、それぞれ起こして所定の位置の土台に明けられている「ホゾ穴」に差し込めば、ほんの10分くらいで1階の柱がすべて立ち上がります。

その下に、頭つなぎとなる『横架材』が並べられ、外周の柱の上部を連結する「胴差」や「桁」、内部の柱の上部を連結する「梁」が、実際に使用される近くに順番に並んでいます。構造用合板による床のステージがあるからこそ、このように並べて作業性を高めることが可能です。

構造用金物事前取付け

昔の木造住宅は、出来るだけ釘や金物を使わず、大工さんたちがノミで仕口や継手を加工し、ホゾや込み栓など木材同士で繋ぎ合わせていました。最近は耐震性能を重視するために、木材の仕口加工+ボルトやプレート金物などで締め付けて、簡単にはグラつかない工法になってきました。

建築金物は、木材同士を繋ぎあわせた後に取り付けるものですが、不安定で狭い足場の上や構造材の上での作業は危険が伴い、作業性も悪いため、材料を搬入した時にいくつかの金物は先行して取り付けられます。もちろん構造材自身も材木屋さんの加工場で『プレカット加工』されて、凹凸部分を差し込み、組み合わせるだけで軸組が出来上がります。

画像はプレカット加工された梁・桁に、事前に取り付けられたボルト類です。地に足がついた場所で穴にボルトを差し込み、ナットで軽く締めておく作業はアルバイトでも簡単に出来ますが、昔の「とび職」のように、単管足場や桁の上など地下足袋を履いて、バランスを取りながら小さな穴にボルトを通す作業は転落の危険性があり、手が滑ってボルトを落としても下の作業者に怪我をさせる危険性もあるのです。

ちなみに、昔の建物は小屋裏などに使われる梁は、曲がりにくくて粘りのある”松丸太”などが使われていました。古民家の小屋裏に良く見られる最初から弓状に曲がっている材料で、瓦や下地の土が載っている重~い屋根荷重をしっかり受けることが出来ました。今は機械でプレカットし運搬もしやすいことを考えると、曲がった材料は使いづらいので、集成材やLVLなど、反ったり割れたりしない半工業製品が増えました。

Wakamoto
写真のような状態までセットされて、雨仕舞盗難防止のためにブルーシートを架けタッカーで土台に留めて、上棟の日まで待機です。

足場組み

最近は、上棟式のような神事まではしないものの、実際に”自分の家が形を現す棟上げだけは見ておきたい”という施主が多く、朝早くからカメラやビデオを持参して様子を撮影、お昼は棟梁や応援の大工さんたちと昼食を共にするケースがかなりの割合であります。

平日でもお休みを取られる方もいらっしゃいますが、地鎮祭と同様、土曜日に棟上げを希望される方が多い印象です。その前日に、建物を囲う仮設足場が搬入され、足場組みの専門業者によりピケ足場と呼ばれる鋼製の連結足場が組まれていきます。

昔の足場は、木製の丸太を縛って組んだり、鋼製でも「単管足場」と呼ばれるクランプで繋ぐ、雨で滑りやすい足場だったので、とび職や大工さんなど慣れた作業者でも転落事故などがありました。「歩み板」という厚みのある杉板で、空中の歩行路も確保していましたが、やはり揺れたり滑ったりするため、労働基準監督署の指導等もあって、今はほぼ画像のような『ピケ足場』が主流です。

部材のパーツも組み立ても、専門業者が所有し工事期間中現場でレンタルされるので、少しでも工事費を削減しようとしたら、施主の財産にならないこのような「仮設足場」などのレンタル期間を少しでも縮める努力も求められます。

米国の足場事情
日本では、労働基準監督署が厳しく、過剰な安全対策が要求されます。しかし米国でこのような建物をぐるりと囲うような足場を住宅の現場で見掛けることはありません。施主の資産にならない、工事終了後には撤去や廃棄される仮設資材・養生類は、施工者の経費の中で最小限しか用意されないのです。右の画像は、私が2011年に米国ワシントン州シアトルの郊外の分譲地を視察した時の写真です。移動式で、作業用の最低の足場しかなく、コスト意識がハッキリとしていました。逆に、内部は天井が高いため、室内でキャスター付きの足場や、竹馬のように背を高くする装具で天井の仕上などを効率よくできるような工夫もあるのです。日本では室内は「脚立足場」なので、施工効率は高くありません。

また足場は「周りから見えないようにする」のが目的ではなく、あくまで現場施工が安全に、しかも作業しやすいように通路や階段、搬入口をつくることが目的なので、家の設計図によって足場の位置や組み方も変わってきます。棟上げ当日、小屋裏を組み屋根下地をする段階になればそのことが良く分かりますが、施主が体験することはまずないでしょうね♪

足場の期間と外部シート施工

棟上げの前日に足場が組まれ、外壁工事が終わって雨どいを取り付けたら、早々と足場は撤去されます。それでも今の日本の木造現場では、2か月以上足場が架かって、建物の工事の様子が道路からは伺えない現場がほとんどです。周辺道路や近隣への材料・工具の落下や木粉等の飛散防止もあって、足場にはグレーやブルーのメッシュシートが架けられます。

通常の現場では、多少風を通すメッシュシートが架けられますが、夜勤で働く人などがご近所にいて、日中の作業でも現場作業の音でクレームが出る場合は、厚みがあって重い『遮音シート』など防音効果の高いシートにするケースがあります。割増料金にはなりますが、ご近所とのトラブルを避けるため、気遣いは必要です。
Wakamoto
棟上げの日には、2階以上の構造材、屋根下地などの材料を揚げるためにレッカー(小型クレーン)を使うケースがほとんどです。レッカー車の設置場所の確保から、電線や足場の鋼管がクレーンに当たって作業の邪魔にならないか、確認をして翌日の棟上げに備えます。

では、次回の講座でいよいよ棟上げを解説していきますね!

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