【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-39】内装仕上げ下地(塗装下地)

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前回の講座は、壁紙の下地づくりを解説しました。
今回は、塗装仕上げの下地について学んでいきます。前回の復習は以下クリック下さい。

【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-38】内装仕上げ下地(クロス下地)

2018.11.13
Wakamoto
内装にビニールクロスを貼ることの多い日本の住宅ですが、欧米の住宅では塗装仕上げが一般的です。壁紙もビニールではなく織物(紙布)や、塗装仕上げを前提とした『オガファーザー』といった木質チップが含まれた壁紙が使われます。

ドライウォール

元々日本の住宅の壁は、土壁の下地に漆喰や聚楽などの”左官仕上”が基本でした。しかも南北面はほとんど壁はなく、襖や障子などの建具で部屋を仕切っているだけの”風が通り抜ける間取り”でした。欧米の住宅の壁も、レンガ積みなどの下地に漆喰塗りなど、やはり”左官仕上”(=湿式工法)がほとんどだったようです。

戦後の人口増加や住宅需要の高まり、そして建物が密集してきて火災の安全性などをクリアするために、石膏ボード(プラスターボード)が開発され、乾式工法による短工期の住宅建設が可能となってきました。乾式工法の壁下地なので『ドライウォール』と呼ばれます。

ジョイントパテ

下地のつくりかた自体は、ビニールクロス貼りと大差はありませんが、熟練の左官職人のように”より平滑にきれいに仕上げる”ためには、クロスの厚みでごまかしがきく壁紙よりも、下地作りが重要になってきます。具体的にはパテやジョイントテープの塗り重ねや幅が増えて、手間は倍増です。

画像は本格的な輸入住宅の建築現場で、下地のプラスターボードも施工方法も本場米国の『ドライウォール工法』です。日本では石膏ボードを縦長に並べていきますが、米国では横長使いで縦に積み重ねていきます。従って、石膏ボードの継ぎ目部分のパテも横になっているのが分かります。

ペーパー掛け

パテはヘラで塗っていきますが、乾燥収縮して目地が割れたり、ボードの継ぎ目がやせて凹凸が目立つことのないよう、下塗り・中塗り・上塗りと塗り重ねていきます。仕上げは目がきめ細かいペーパーで平滑にします。数ミクロンの塗膜(塗装仕上げ)でも左官仕上と同じように継ぎ目を感じさせない壁下地づくりが理想です。

シーラー処理と水性塗料

内装壁を塗装にするニーズは、質感だけでなくアトピーなどのアレルギー症状のある人が、ビニールクロスに含まれる可塑剤や、糊に含まれる揮発性物質などによる”健康被害”を回避したいというケースがほとんどです。従って、塗料の溶剤もシンナー系の揮発性物質ではなく、水に溶ける塗料を使う『水性塗料』(水性アクリルエマルジョン塗料等)によるほとんど臭いのない仕上げが好まれます。

壁下塗り

石膏ボードのジョイント部分が目立たないようパテしごきをして下地が出来たら、下塗りをしていきます。巾木や廻縁が先に取り付けられていると、汚さないように「養生シート」の作業が必要となります。こちらの現場では、巾木や廻縁は後付けで、養生の手間と材料を不要としています。

ケーシング&モールディング

壁の上塗りが終わったら、ドア枠(ケーシング)や廻縁(モールディング)などを取付けて仕上ていきます。上記の画像と比較すると、少しづつ完成に近づいていることが分かります。

塗装下地壁紙

壁の質感も重視しながら、エコロジーな自然素材を求めるなら、少し厚めの天然の紙を下地に張ってその上に水性塗料を塗るという工法もあります。下地の紙も塗料もドイツ製のものが多く、日本国内で良く利用されているのは『オガファーザー』や『ルナファーザー』という木片チップ入りの壁紙です。

壁紙を下地にした塗装仕上げは、壁紙自体が厚みがあり、材料にも小さな凹凸があるので、塗装をしても継ぎ目は多少分かります。ビニールクロスと違って、何度も塗料の塗り重ねが出来、耐久性も高いので、長期的に見れば選択肢の一つとしてお勧めですが、新築時のコストは割高となります。

また、汚れはつきやすく、ある程度の手入れも必要なので、下地の紙クロス貼りまではプロの職人にやってもらい、塗装は施主自身がやってみることもお勧めです。コスト削減だけでなく、汚れた時に重ね塗りするなど、メンテナンスも自分で出来るようになっていれば、入居後に気分によって壁の色を変える「模様替え」も試せます。

▼次回は、左官仕上の下地について学んでいきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。