【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-24】ユニットバス据え付け

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≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。

前回の講座は、壁の断熱材施工について学びました。
次の工程として、意外と早いユニットバスの据え付けについて解説します。前回の講座は以下のリンクで復習して下さい。

【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-23】壁の断熱施工

2018.08.02

浴室は、他の部屋に先行して断熱材を充填し、壁下地のプラスターボードを張って、ユニットバスの組み立て準備をします。

Wakamoto
昭和の時代の住宅は、ブロックなどを積んで浴槽を据え付け、左官やタイル仕上げでお風呂を仕上げていました。平成以降ユニットバスが普及し、現在では9割以上の住宅でユニットバスが利用されています。キッチンメーカーとほぼ同じ建材メーカーが製造・販売しています。

浴室の断熱と換気

いくつかある部屋の中で、浴室と玄関はコンクリートの土間の上に配置されます。他の部屋は基本的に「床仕上げ」があり、床の下に断熱材が入っていますが、玄関はタイル張り、浴室はユニットバスの洗い場の下は架台が組んであって、一般的には床に断熱材はありません。どちらの部屋も外気の影響を受けやすい場所にありますが、特に浴室は断熱や換気が重要です。

基礎断熱工法の浴室

床下の断熱を、基礎の立上がり部分にボード状の断熱パネルを張った『基礎断熱』とした場合は、隣の洗面所なども含めて床下は外部環境から切り離された”屋内側の空間”になります。

画像の通り、浴室は床を張りませんが、他の部屋の床下と繋がっています。基礎立ち上がりから90cm程度の幅は床スラブにも断熱材を張り、蓄熱容量の高いコンクリートの熱を遮断するので、浴室の床下は冬でも冷たくならず、お湯の冷め具合もゆっくりです。

貫通部分の給排水の配管なども、漏気がないようにしっかりとウレタンで塞ぎ、気密性能を高めます。

架台の設置

棟上げが終わり、サッシ枠を取り付けると、割と早い工程でユニットバスの設置を進めます。搬入や作業性、間仕切り壁で囲うことなどを考えると、大工さんの作業と干渉しない段階で早めに搬入したほうが、電気や給排水設備の業者さんも含め現場での作業効率が高くなります。

まずは下準備として浴室の外壁に面している壁(通常2面)に断熱材を挿入し、耐火性と気密性を補うためにプラスターボードで覆います。そして湿気や結露で錆びたりしない金属製の架台を組んで、洗い場の床や浴槽などをセットしていきます。

床断熱(基礎パッキン)工法の浴室

日本の住宅では、まだ基礎断熱工法よりも床下断熱の工法のほうが圧倒的に多く、基礎立上げと土台の間に『基礎パッキン』という耐久性の高い通気部材を使います。または「基礎換気口」によって、外気が床下に流入し、冬の床下は冷たくなります。床の断熱が出来ない浴室は、多くの家で脱衣場まで冷たくなっていました。

画像は床下断熱の「基礎パッキン工法」を採用した住宅の浴室部分。
浴室は他の部屋の床下とは切り離し、発泡スチロールの専用部材で基礎の人通口(配管や点検スペース)も塞いでいます。土台も「気密パッキン」で浴室の床下は外気の侵入を許さないつくりです。

新旧比較(基礎換気口 vs 基礎パッキン)

2000年前後の在来工法は、基礎換気口があり1階の床も大引き・根太組みをして15ミリ厚程度の床合板を張るのが主流でした。冬は床下に冷たい外気が入り、断熱材が入っていない浴室と洗面所の間仕切り壁には、床下の冷たい空気が上昇気流になって壁のコンセントやスイッチから冷気が漏れていたのです。

2010年頃から、「根太レス工法」と呼ばれる24ミリ程度の特厚合板で、棟上げ前から床を覆う『プラットフォーム工法』が軸組でも主流となり、気密の重要性にも気づいてきました。

画像を比較するとよく分かりますが、昔の浴槽はすぐに湯がぬるくなり”追い炊き”が必須でした。浴室の床が区画されずに冷気が入り放題だった頃の画像と、浴室の床下を密閉している最近の事例を比べると、どちらが冬寒いか一目瞭然です。そのせいで各ユニットバスメーカーは『魔法瓶浴槽』とか『からり床』といった、冷たくなりにくいユニットバスにしのぎを削りました。

架台と浴槽

昔のお風呂は『湿式工法』と呼ばれ、おもに左官やタイル工事でした。浴槽は五右衛門風呂からステンレス人造大理石などに変わっていきましたが、当初は浴槽自体を下から直接火で焚き上げ、浴室内は湿気がこもりがちのジメジメとした空間でした。

現在のお風呂は『乾式工法』と呼ばれる、工場生産された部材を組み立てて、外部に設置した給湯器(ガス・石油・電気)から「湯」を送るという形で、湯船に湯を張るのが一般的になりました。アクリル樹脂等で成形され、タイルを張ることもありません。

画像の通り、浴槽は高さ調整可能な架台の上に浴槽部分を載せ、基礎部分の空間は配管があるだけの空洞で、乾燥した空間です。浴槽自体は火を焚くわけでなく、床下は外気が入ってくる前提なので、保温材の発泡スチロールで包まれています。

ユニットバスの組み立て

ユニットバスのパーツは、大きく洗い場と浴槽、そして壁面パネルとドアに分かれ、構造躯体との間は電気配線等の空洞になります。この壁内部に床下の冷たい空気が入り込むと、寒さや結露の原因になるので、基礎断熱や気流止めが必要となるのです。

Wakamoto
ユニットバスの据え付け自体は住宅設備機器メーカーの指定業者が行うので、大工や電気設備業者など別の作業者は、他の部屋の作業を進め、組み立てが終わったら、電気や給排水の接続、プラスターボードの仕上げなど浴室回りの工事に戻ります。

2階のユニットバス設置

二階建ての戸建住宅では、1階にお風呂を設置するケースがほとんどですが、立地条件や施主の好みなどによって2階にお風呂を配置するケースも解説していきます。三階建て住宅では、1階にお風呂は稀ですし、海外では寝室があるフロアにバス(浴室)があるのが一般的です。

画像は、2階浴室となる個所を1階からみています。赤い楕円の印が、架台を支える「受け金物」を桁や梁に固定している状態。お湯を張ると300Kg程度の荷重は掛かるため、地震等が来ても安全が担保出来る強度を確保します。こちらの現場では断熱材は「セルロースファイバー」を充填しています。

据え付け

2階設置のユニットバスは、荷重だけでなく1階天井裏が水漏れしないように、神経を配って設置・配管していきます。下の2点の画像は、現場発泡ウレタン吹付断熱を施工した2階浴室の現場です。

住宅会社によっては、水漏れや防水事故を避けるため「2階の浴室は建物の荷重バランスが悪いのでお勧めしません」という会社もあるようです。しかし、三階建て住宅や上下分離型の二世帯住宅など、特殊事例ではなく一般的に2階用のユニットバスもあるので、ご心配は不要です。

閑話休題・米国の浴室施工アメリカでは1階は友人や仕事関係の人などが集まり、パーティなどもする「他人にも公開可能なソーシャルな空間」としてプライベートな部屋は配置しないのが一般的です。浴室は、各個人の寝室にそれぞれ浴槽やシャワー室などをつくるので、2階に複数のお風呂をつくります。

画像は、浴室を施工中のアメリカの建築現場と完成後の比較です。日本のように浴槽の外で体を洗ったりお湯を流す習慣がないため、普通に床合板の下地の上に浴槽を設置し、タイルや石などで仕上げます。お風呂は防水や掃除のしやすさよりも、ラグジュアリー感が重要なので、樹脂系のパーツで出来たユニットバスを使うことはありません。

お風呂に入る文化も日米で異なりますが、見た目も施工の合理性も米国のほうが一枚上手のような気がします。下の画像は米国ワシントン州シアトル市郊外の住宅地「イサクワハイランド」で見学したアフォーダブル住宅(中産階級向け低価格帯の住宅)のバスルームです。洗面台もまるで家具のようなカウンターです。

Wakamoto
元々日本もお風呂やトイレ(厠)は家の外にあり、また都市部では「銭湯」を利用していた人が大多数なので、一戸建て住宅で浴室・洗面がセットでプランされるようになったのはそれほど長い歴史がある訳ではありません。世代が変われば、お風呂の文化も家づくりも変わって行くかも知れませんね!

次回は床材の施工について解説していく予定です。

 

 

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