【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-6】ベタ基礎の耐圧盤配筋とコンクリート打設

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木造住宅の建築プロセスを学ぶこの講座も、いよいよ基礎工事に入ります。昔は、逆T字型の『布基礎(ぬのきそ)』が一般的でしたが、地元工務店が建てる最近の木造住宅はほぼ100%に近いくらい『ベタ基礎』と呼ばれる基礎になりました。今回は、そのベタ基礎の底盤、耐圧盤と呼ばれる部分を中心に配筋工事をみていきます。

前回は地盤の掘削と均し、砕石地業や防湿シートなど基礎工事の下地を学びました。復習は以下クリックして下さい。

【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-5】基礎の下地をつくる地業と防湿シート

2018.04.11

基礎工事は大きく2つの工事工程に分けられます。細分化すれば5~7工程程度に分けられますが、前者が「耐圧盤の配筋とコンクリート打設」で、後者が「立上がり部分の型枠工事とコンクリート打設」という工程です。耐圧盤と立上げ部分のコンクリートを一体打ちするために、工程を分けずに行うケースもありますが、基本は二度に分けて工事を行います。

今回は前半工程の『耐圧盤の配筋工事』に関して解説していきます。

基礎の配筋工事

Wakamoto
コンクリートは「圧縮」には強いものの、ほとんど曲がったりしなったりしない材料です。強い曲げや引っ張りの力が働くとポキッと折れたり砕けてしまうので、建物や屋根の荷重が掛かる住宅の基礎は、曲げ強度に強い鉄筋を組み合わせた『鉄筋コンクリート基礎』をつくります。

コンクリート型枠配置

防湿シートと捨コンが終わって、基礎の位置を墨出ししたら、外周部の型枠を組んでいきます。以前は、型枠大工という職種がいて、垂木などで木枠をつくり合板をカットして木製の型枠をつくっていましたが、今は鋼製型枠と呼ばれる金属製の型枠が増えてきました。

木製型枠では、型枠を外す時にベニアの一部がコンクリートに張り付いて残ったり、剥がしにくいため、型枠にたっぷり重油を塗る作業をしていました。また、コンクリートの仕上げ面が平滑にならず、型枠は使い捨てになっていたので、モジュールや基礎の高さも標準の場合は、組立も解体も楽にできる鋼製型枠が一般的です。

コンクリート打設時も、しっかりバイブレーターで振動させれば、ジャンカも出にくく、木製型枠よりもきれいな基礎が仕上がります。

フーチング配筋

ベタ基礎の場合は、基礎全体の底盤部に鉄筋を組みますが、まずは少し深くなった外周部の鉄筋を組んでいきます。深くなった部分を『根入れ』と呼び、根入れ深さは”梁の太さ”のようなもので、高さで強度を確保します。通常、地盤面(GL/グランドレベル)から15cm程度根入れをし、立上げ部分は40cm以上としています。

鉄筋は主筋の太さ13mmの異形鉄筋を使い、立上がりの補強筋(縦筋)は10mm以上の異形鉄筋を使用して鉄筋を組んでいきます。

各コーナー部分は、鉄筋をL型に重ね合わせ「定着長さ」と呼ばれる重ね部分の長さを規定通り確保します。具体的には鉄筋の太さの40倍で40Dと呼ばれます。コーナー部分は土台の上に載る柱が二階まで繋がる『通し柱』が来るケースが多く、ホールダウン金物と呼ばれる”柱の引き抜き力に耐えるアンカーボルト”が埋め込まれるので、特に強度が必要です。

耐圧盤の配筋

布基礎の場合は、建物中央部の底盤には鉄筋が入らず、田の字型のように間仕切り壁が来る直下だけ、基礎の立ち上げ部分に鉄筋が入ります。

地盤強度が強くても、やはり中央の間仕切り壁に柱を通して2階や屋根荷重が基礎に載るため、底盤全面に鉄筋を組む『耐圧盤』をつくると安心です。このような基礎をベタ基礎と呼びます。

いかに全体を鉄筋で組んでも、コンクリートの荷重もあるため、一定の間隔で区画をつくり、地中梁の鉄筋を組みます。ちょうど構造躯体の梁や桁と同じです。

特に大きな荷重が掛かる場所は、鉄筋のピッチを狭め、鉄筋の密度を高めます。長期優良住宅のような高耐久の住宅や、耐震等級を高めた高耐震の住宅も、鉄筋密度が高くなります。

鉄骨系だけでなく、在来木造や2×4工法を採用している木質系でも、なぜか大手ハウスメーカーでは、底盤に鉄筋が入らない『布基礎』を採用する会社がほとんどです。この考察は、別の記事『大手ハウスメーカーの基礎工事』でまとめました。

【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-番外編】大手ハウスメーカーの基礎工事

2018.04.20

重要POINT鉄筋を組んだ時、防湿シートを敷いた地面と鉄筋の隙間、立上げ部分の型枠と鉄筋の隙間を『かぶり厚さ』と呼びます。コンクリートを打った時に、地盤や外気に触れる面から鉄筋までの厚みが、コンクリートの寿命に影響を与えます。

上の画像は、役所の配筋検査が終わった後、私が現場に立ち寄り是正させた「かぶり厚さ不足」の工事です。地盤に面している場所では6cm以上、それ以外の外気に面した立上げ部分などは4cm以上のかぶり厚さ(空きスペース)が必要です。そのスペースを確保するための部材(ピンコロ石とかスペーサーとよぶ補助材)の使い方を間違えて、横使いしていたため地盤面で4cmしかありませんでした。

新幹線や高速道路高架のコンクリートがはがれて落下する事故は、このかぶり厚さが影響しています。アルカリ性のコンクリートが空気中の二酸化炭素に反応し、徐々に中性化して内部の鉄筋が錆びていきます。その錆によって鉄筋が爆裂しコンクリートがはがれると、コンクリート強度が一気に失われるため、このかぶり厚さが重要になるのです。

出来上がってしまったら見えなくなるところだからこそ、重要なチェックポイントです。
給排水の配管を通す『スリーブ』と呼ばれる穴を、強度に影響がない場所に取り付けて、配筋工事は終わりです。

耐圧盤と立上げ部分の配筋が終了。給排水の配管用スリーブも設置しています。

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スラブへのコンクリート打設

Wakamoto
役所や性能評価機関、瑕疵担保保証機関などの検査会社による『配筋検査』が終わったら、耐圧盤(基礎スラブ)にコンクリートが打ち込まれます。

コンクリートの品質

コンクリートの主な材料は、セメント・水・骨材・混和材からなり、品質に対して主な指標は『呼び強度』『水セメント比』『スランプ値』となります。生コンのミキサー車がコンクリートを納品した時に、納品伝票に書かれていますが、一般の施主が目にすることはないでしょう。

木造の住宅の基礎であれば、一般的には「呼び強度」が21N~24N/mm2です。21Nは、210kg/cm2と言い換えたほうが分かりやすいかも知れません。”呼び強度”は、コンクリート打設4週間後の強度で、柱をイメージすると10cm2で計算すると21トンの荷重で圧縮されても耐えられるという強度です。実際には、寒冷地や求める強度、施工時期によって27N/mm2とする場合もあります。

水セメント比は、セメントの比率が高いほど強度は高まりますが、現場での施工性やコンクリート打設後の乾燥収縮なども加味して50%台が一般的です。骨材は20mm~25mm程度で、柔らかさ(崩れ具合)を確かめるスランプ値は18cm程度で、この数値が大きいと柔らかいコンクリートです。

コンクリートの運搬と現場打ち

JIS規格の工場で出荷された生コンクリートも、現場に搬入するまでに距離が遠く、渋滞につかまったりしたら、工場出荷の品質は担保出来ません。特に夏では次第にコンクリートが乾燥し、固まってくるため、現地で水を足して施工性を高めるといった不良なコンクリートが打たれるケースもゼロではありません。

コンクリートミキサー車が生コン工場を出発し、90分以内には打ち終わるという作業工程を組み、人力だけでは時間が掛かるため、今ではポンプ車を使って短時間でコンクリートを流し込みます。

昔は「シューター」と呼ばれる、雨どいを大きくしたような半丸形の機材で、そうめん流しのようにコンクリートを流し込んでいました。しかし、ミキサー車の高さからの勾配があまり取れないため、固いコンクリートほど遠くに流し込むのに時間が掛かり、品質劣化の原因になっていたのです。

ジャンカ防止のバイブレーター実施

コンクリートはしっかりと鉄筋と密着し、かぶり厚さが確保されて初めて設計した強度が出ます。複雑に組まれた鉄筋の間にもコンクリートが回り込み、骨材の隙間をモルタルが埋めて「ジャンカ」と呼ばれる雑で荒い表面にならないよう、綺麗に仕上げなければなりません。

この時に使われる道具が「バイブレーター」と呼ばれて、電気で小さな振動を起こし、コンクリートに先端を突っ込んで撹拌します。昔の木製型枠で、施工が悪いとバイブレーターで型枠が動いてしまうこともありましたが、鋼製型枠になって安心してしっかりとバイブレーターが掛けられ、表面もきれいな基礎が出来るようになりました。

トンボと呼ばれるT字型の道具で、ざっくりと平らに均し、最終仕上げとして「木ごて」できれいに均して耐圧盤の完成です。

Wakamoto
基礎には、室内の水回りから外部に配水するための配管も通るスペースが必要です。一部基礎を貫通する部分などもあるため、スリーブにも鉄筋とのかぶり厚さがとれているか確認して、耐圧盤のコンクリート打ち終了です。

間仕切りの壁が出来る位置に、立上げ部分の鉄筋だけが出ている状態で、また型枠位置を墨出しし、次のステップで立上げ部分の型枠組を行っていきます。

NEXT:基礎立上げのコンクリート打設

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ABOUTこの記事をかいた人

≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。