【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-28】内壁下地と天井組み

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前回は、外部の作業で大工さんが下地作りをする『外壁下地』に関して「乾式工法」と「湿式工法」について比較しました。外壁の仕上げは、大工以外の専門工事業者が施工します。大工の仕事は料理の「下ごしらえ」のようなもの。専門職が綺麗に仕上げられるように下地をつくります。外壁仕上げの専門職に手待ちをさせないためにも、また外部足場のレンタル日数を短縮するためにも、いったん外部で外壁下地の作業をして、また室内に戻ります。

前回および前々回の記事は以下復習ください。

外部の作業をする前は、木質の床工事まで終わっていました。フローリング張り等をして、床が傷つかないよう「養生カバー」を行い、壁には断熱材が入った状態です。

Wakamoto
室内では、すでに天井裏の電気配線やケーブルの配管、空調関連等の設備工事も進んでいるので、天井の下地を組んでいきます。火災の延焼や防音のために小屋裏まで壁を立ち上げ、プラスターボードで塞いで界壁をつくる場合もありますが、個人住宅では天井裏は部屋の上部で塞がっていません。まずは天井組みを先行します。

木質天井組み

木造住宅では、一般的に天井組みも木製の「吊り木」に「野縁(のぶち)受け」という、屋根垂木のような木材を約90cmピッチで並べ、直交する形で45cmピッチの「野縁」を組んでいきます。

軸組み工法で、2階の音もそれほど気にならない場合は、画像のように「吊り木」は構造躯体(梁など)に直接取り付けます。特に防音対策は行わないので、子供が飛び跳ねた衝撃音は、そのまま天井に響きます。

天井防音仕様

2×4工法(枠組み壁工法)の場合は、軸組み工法に比べて振動が伝わりやすく、衝撃音が反響しやすいため、天井でも防音対策をすることが少なくありません。軸組み工法でも、二世帯住宅など振動音を抑えたい場合は、参考にして下さい。

防音下地組み

通常施工されている木製の吊り木では、振動が直接天井の野縁に伝わるため、振動を抑える『防振吊り木』という部材を使います。樹脂製で車のショックアブソーバー的な振動吸収機能があります。

赤い楕円で記した黒い部材が『防振吊り木』で、2×4工法の現場と軸組み工法、双方の現場で使いました。画像をみれば、どちらが2×4工法でどちらが軸組み工法かお分かりでしょうか?

天井防音材(断熱材)挿入

天井下地組みの吊り木を防振タイプにしても、重低音の振動が抑えられるだけで、ものを落とした音やドアを閉めた音などは聞こえるので、さらに防音対策をするために、天井に防音材(一般的には断熱材でもあるロックウール)を挿入するケースもあります。

画像の通り、2階天井には不要な防振吊り木が見え、断熱用途ではないため湿気の侵入や空気の移動は意識する必要はありません。ちなみに、天井の断熱に関しては、別の解説がありますので、そちらを参照下さい。https://e-sumaile.net/quality/roof-insulation

上階防音対策

二世帯住宅などで、さらに音による家族内のトラブル等回避したい場合には、上階の床にも防音対策を施します。一般的にはプラスターボード(以下PBと略字表記)9.5mmを床全面に敷いて床材を張りますが、鉛入りの防音マットやALC(軽量気泡コンクリート)を敷き詰める場合もあります。

上記画像は、防音マットを敷いた事例です。床の防音施工に関して、詳しくは過去の解説でご確認下さい。

【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-25】床材施工

金属製(軽天)天井組み

最近では、大工不足もあって、大工しか出来ない仕事と大工でなくても出来る仕事を分け、現場の効率化建築費のコストダウンへの取り組みも進んでいます。その一つが『軽天』と呼ばれるオフィスや店舗で使われる軽量鉄骨組みの天井下地組みです。

軽天工事は、それほど熟練は不要で、道具も少ないため、若い作業員でも可能な作業です。材料自体も反ったり曲がったりしない”安定した”スチール製なので、火災でも延焼防止に効果がある施工法です。専門の軽天作業員が施工するので、大工さんは別の作業が可能です。

天井作業の効率実際に大工さんが天井下地組みの作業をする場合には、まず天井の採寸をするために脚立に上がって野縁受けの長さを測り、脚立から降りて現場でこしらえた作業台で「野縁受け」を加工、材料を持ってまた脚立に上がって上向きに作業しなければなりません。

野縁受けを取り付けるだけで、何度も脚立を下りたり上がったりし、そしてまた「野縁」をカットして450ミリピッチで格子状に天井下地組みをしていき、またPBの加工やビス留め作業を繰り返すのです。画像のように、梁成の高い太い梁が入っていて、天井高がギリギリの場合、さらに野縁の加工などがあります。この部分を2人1組の軽天作業として、床で格子状に組んだ上で天井にセットすればかなり作業が簡略化できます

天井プラスターボード(PB)張り

天井野縁組が終わったら、6尺×3尺(1.8m×0.9m)のPBを縦方向に継ぎ目を90cmずらす『千鳥張り』で、野縁に沿ってビス留めします。

天井の石膏ボード張りを終えた現場。大工さんが点検口から小屋裏を確認しています。

Wakamoto
天井は、普段直接触れることはなく、施工作業は手間が掛かるので、この作業をどう簡略化するかは標準化・単純化が必要でしょう。ただし最近ではダウンライトが多用されることも増えたため、開口部の補強や照明の熱による火災防止、大地震による天井落下がないような施工が求められます。

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壁下地

一般的な居室の天井高は2.4m。壁の下地となるプラスターボードの規格寸法が6寸(1.8m)や8寸(2.4m)なので、高さでは材料ロスが出ない寸法です。逆に天井高を高くしたいと要望すると、材料ロスも増えて割高になります。

木軸下地

天井は、作業性やコストダウンなどで軽天を使うケースもありますが、木造住宅では壁は基本的に木軸の間仕切りとなります。窓の上のラインを揃える『内法寸法』は、一般的に2mで、その上の40cmほどの垂れ壁部分にカーテンやエアコン等を設置します。下地補強や先行穴あけのスリーブ等も施工します。

立掛けてある石膏ボードが6寸(1.8m)の材料。2.4mが天井ライン

PB下地組み

基本的に、構造躯体である柱と間柱がPBの幅の倍数で配置されているので、縦方向には全て木下地がありどこでもビス留めできます。PBの上下(横方向)にも、足で蹴っても割れないよう、四方ぐるりとビス留めするための受け材(横桟)を取り付けます。

PB張り

壁下地のPBは、柱の中心にボードの継ぎ目を配置し、ビスピッチ@150mm以下で周辺部をビス留めします。間柱のある中央部は、少し間隔が緩やかで@200mm以下のビスピッチで留めていきます。

玄関に面したリビング。左側の発泡ウレタンが吹付けている壁の裏は玄関ポーチ。

外部に面した壁には断熱材が挿入(吹込み)され、室内側の壁は両面にPBが張られて中は空洞です。壁に小さな棚をつくる『ニッチ』などは、室内側の壁に設けます。外壁に面すると断熱欠損になり結露の懸念も生じます。

下地補強

廊下に手すりを設けたり、壁掛けテレビや開口部のカーテン取付けなど、大きな荷重が掛かると想定される箇所には、下地補強をします。

Wakamoto
下地補強は、地震時の家具倒壊防止でも有効です。PBへのビス留め固定では効き目がないので、工事中に実際に現場に行って、部屋ごとにどのような家具や家電製品を置くか、実際の生活をイメージして下地補強の追加も検討することをお勧めします。

耐水ボード張り

手洗い器具や洗濯機などを設置するサニタリー(水回り空間)では、通常のPBは水に弱いため、耐水性能の高い専用ボードを張ります。

トイレと洗面・脱衣所の事例ですが、薄緑色の壁下地が耐水ボードです。洗面所の事例で、天井に張っている通常のPBとの色の違いが分かると思います。天井に格納されているのは、少量の洗濯物を室内干し出来る『干し姫さま』という機器です。

コーナー補強

PBはもろい材料なので、生活をしていて人や物がぶつかって角が欠けないように、出隅部分には樹脂製のコーナー材を取り付けて、パテでカバーした上で仕上げをしていきます。

壁PB張りの効率

天井高を2.4mと決めておけば、天井高と同じ長さ(8尺)のPBを使えば作業効率は高まります。通常、階高(1階床から2階床までの高さ)は3mです。天井高を例えば2.6mに上げるということは、天井裏(「ふところ」といいます)の空間が図面寸法でも40cm未満となり、2階床の厚さや1階天井の野縁を含む厚み、梁成(はりせい/梁の高さ)などを考えると、天井裏の配線や配管が窮屈となります。

天井高を高くしたいという要望は、1階を「柱や壁の少ない大空間にしたい!」という希望だとすれば、梁は太くなり、階高3mでは天井内に収まらなくなる可能性があります。階高を高くすることは可能ですが、柱などの構造材が特注寸法となり、外壁の総量も増え、材料・手間自体も割り増しとなります。

画像のピンク色のPBは、2.4m天井高を1枚で施工できる8尺のボード。現場でカットも不要で、カットしたボードを持って脚立に上り、ビス留めするといった6尺の材料のような作業ロスも少ない効率よい方法です。ただし慣れない大工さんには、長さや重さで現場取り回しに苦労して、工事単価が安くなると断られます。

Wakamoto
室内の仕上げをクロス貼りにしても、塗装左官仕上としても、今の日本の住宅では新築のほぼ全棟、下地にPB(石膏ボード)が使われます。今では、耐水性だけでなく臭いを吸着するものなど「機能性ボード」も登場していますが、建物の解体時には「建築廃材」として分別が必要で、自然には還らないので、将来的には代用品が求められます。

▼次回は、また外に出て外壁仕上げについて解説していきますね。

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ABOUTこの記事をかいた人

≪住まいづくり専門コンシェルジェ≫ 福岡大学工学部建築学科に在学中、当時の人気建築家『宮脇檀建築研究所』のオープンデスクを体験。卒業後、店舗の企画・設計・施工の中堅企業に就職し、主に首都圏の大型商業施設、駅ビル等のテナント工事にてコンストラクション・マネジメントを体験。1991年に東京から広島に移住し、住宅リフォームのFC本部、住宅営業コンサルティング会社に勤務。全国で1千社以上の工務店・ハウスメーカー・設計事務所と交流し、住宅業界の表も裏も知り尽くす。2001年に独立し、500件以上の住宅取得相談に応じ、広島にて150棟以上の見積入札・新築検査等に携わる。2006年に著書「家づくりで泣く人笑う人」を出版。 マネジメントの国家資格『中小企業診断士』を持つ、異色の住生活エージェント。